台湾HTCは5月2日(現地時間)に2013年第1四半期(1-3月期)決算を発表したが、売上が当初予測を下回るなど引き続き厳しい状況が続いている。だが足下の状況は改善しつつあり、第2四半期ではアナリスト予測を上回る業績予測を発表したほか、今年後半に向けての地ならしを強化していくと同社では説明する。

2013年第1四半期の同社売上は428億台湾ドル(約1400億円)で前年同期比36.9%のマイナス、純利益は8500万台湾ドル(約2億8500万円)で前年同期比98%のマイナスだった。直前の四半期(2012年第4四半期)時点での今期の売上予想は500~600億台湾ドルであり、これを下回っている。また2012年第1四半期においても営業利益が直前の年度に比べて大幅に悪化する現象が見られていたが、これは2013年第1四半期においてさらに悪化しており、最終的に純利益の大幅減少となって現れている。同四半期にはフラッグシップのHTC Oneの新型が発表され、世界展開がスタートしたが、現況を鑑みる限りは厳しい状態にあるといえる。

だがHTCによれば、今回の売上見通しに到達しなかった理由の1つが新型HTC Oneのカメラ部品不足で製品を予定通り市場に出せなかったことにあり、このサプライヤ問題は現在のところ「大幅に改善」にしているという。トレンドの変化については引き続き注視する必要があるが、こうした理由もあり2013年第2四半期については今期より63.6%高い700億台湾ドルの売上をを見込んでいる。Wall Street Journalの報道によれば、これはアナリスト予測の平均値672億台湾ドルよりも高く、同社としてはかなり強気の予想だといえる。実際、ここ最近の同社の売上目標はアナリスト予測を下回っていることが多い。とはいえ、昨年2012年第2四半期の売上は910億台湾ドルであり、前年同期比ではいまだマイナスの水準にある。

最悪期を脱しつつあるという評価のある一方で、WSJではBarclaysアナリストDale Gai氏の「これから数カ月でハイエンド注視することで利益率を改善するが、憂鬱な日々から復活する可能性はいまだ低い」と現在の同社を評する意見も紹介している。またHTC CEOのPeter Chou氏はHTC Oneの勢いを今年後半に向けても維持できることが重要だと説明しており、特にマーケティング面での努力を続けていくという。いずれにせよ、今年後半はライバルのAppleやSamsungなどからもハイエンドでの最新機種が出揃うため、HTCもよりいっそうのラインナップ拡充が求められることになるだろう。