かねてから噂のあったFacebookの利用に特化したスマートフォン「Facebook Phone」が台湾HTC製の「HTC First」として、北米キャリアのAT&Tより、4月12日に発売されることが発表された。2年縛りで99.99ドル(9,600円)と、かなりリーズナブルな価格での提供である。このHTC Firstの登場について考えてみたい。

HTCとFacebookが共同で開発したHTC First

そもそもHTCとFacebookの関係は今に始まったものではない。過去には2011年に発売された「HTC ChaCha」にFacebookボタンを設けてリリースするなど、2社は友好な関係を築いてきた。そのため、今回のHTC Firstの登場は筆者にとっては必然だったのだ。

さてHTCとFacebookの作り上げたHTC Firstは、どのような端末なのだろうか? まずはスペックを確認してみよう。

  • ディスプレイ : 4.3インチ(1280×720ドット)
  • プロセッサ : Snapdragon 400(1.4 GHzデュアルコア)
  • OS : Android 4.1
  • RAM : 1GB
  • 内蔵ストレージ : 16GB
  • カメラ : 背面5メガピクセル、前面1.6メガピクセル
  • 動画撮影 : 1080p HD

こうしてスペックを並べると、最新のAndroid端末と比較すると高性能とは言いづらい。また同端末と同時に発表されたFacebookの操作中心に特化したホーム画面「Facebook Home」がHTC FirstのほかのAndroid端末(現時点では、HTC One、HTC One X、HTC One X+、Galaxy S III、Galaxy S4、Galaxy Note II)でも利用できることから、同端末に存在意義を感じない人も多いかもしれない。

だが、HTC FirstをFacebookとHTCがリリースする理由はそこではない。コンセプトは間違い無く「Facebookの為の普及機」である。購入しやすい端末を提供することで、Facebookのユーザー数を増やしていく。これこそが本来の目的なのだ。これは、米Amazonのタブレット「Kindle」と似ている。Amazonはブックストアのダウンロードを促進する安価な専用端末、Facebookは同社のSNSの利用者数を増やし広告収入などをプラスとする為の専用端末なのだ。

こういった背景を考えると、HTC Firstは秀逸な特化端末ではないだろうか。HTC FirstはFacebookユーザーを増やすために米Facebookが仕掛けた秘策である。日本国内で発売の予定は今のところ無いが、北米を皮きりに世界的な販売を目指した意欲作なのだ。