説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「Lightningコネクタって何がいいの? 何がすごいの?」という質問に答えます。

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「Lightning(ライトニング)」は、iPhone 5から採用された新しいコネクタ規格です。かんたんにいえば、端子が小さくなり、リバーシブル構造となって表裏を気にせず接続できるようになりました。その後発売されたiPadやiPod touchのコネクタもDockからLightningに変更されたことから、近い将来パソコンや充電機器との接続規格はLightningに一本化されると考えられます。

Lightningのメリットは、その「小ささ」にあります。これまでiPhone/iPadに採用されてきたDockは、ピン数が30あるためコネクタを大きくせざるをえず、横幅は約21mmもありました。Lightningはピン数を8(表裏両面にあるので計16、外周を含めた接点は合計17)に減らした効果で、横幅は約6.5mmとかなりコンパクトになっています。

コネクタの両面にピンを配置したことは、表裏を気にせず接続できる(リバーシブル)という使いやすさにもつながっています。Dockに比べ開口部が約80%も小さくなったため、ハードウェアデザインの自由度も増しました。iPhone 5でヘッドフォン端子が本体下(iPhone 4Sまでは本体上部)に移動したことは、Lightningの採用が大きく影響していると考えられます。

ただし、DockとLightningでは流れる信号が異なります。Dockには、アナログのオーディオ/ビデオ信号が含まれていましたが、ピン数削減のためLightningではデジタル信号のみとなりました。充電やパソコンとの同期(データ送受信)といった主要機能は変わりませんが、アナログ信号しか入力できないDock対応ステレオコンポにDock/Lightning変換コネクタでは接続できません。技術革新のためには互換性を切り捨てることも厭わないあたりはAppleらしさであり、ある意味「すごい」といえる点かもしれませんね。

写真で解説

iPhone 5から採用された新型コネクタ「Lightning」。リバーシブル構造のため表裏を気にせず挿し込めるうえ、横幅約6.5mmとかなりスリムになりました