米国・ラスベガスで1月11日まで行われたIT/デジタル関連イベント「International CES 2013」において、ソニーモバイルコミニュケーションズは、スマートフォンの最新モデル「Xperia Z」「Xperia ZL」を発表した。今春のソニーモバイルは、フラッグシップモデルとしてXperia Zを、同製品のバリエーションモデルとしてXperia ZLを提供する。

CESの会場で同社UXデザイン&企画部門UX商品企画部のVice PresidentでCreative Directorの黒住吉郎氏にXperia Zについて話を聞いたので紹介しよう。

黒住吉郎氏。隣にあるのはCESの展示で、正面ガラスにマジックミラーを使って、無限にXperia Zが表示されるようにしてある

デジカメ部門と1段上の協力で開発したXperia Z

Xperiaといえば、デザインとスペックを両立させ、一定のブランド価値を確保したスマートフォンだが、Xperia Zでは、1.5GHz駆動のクアッドコアプロセッサ、2GBのRAM、5インチフルHD液晶と、現在のスペックとしては最高に近いレベルを採用している。他社の先をいくようなスペックとは言いづらいが、黒住氏は、「過剰なスペックはコストになるので、シビアにバランスをみている」と話す。

Xperia Z。5インチフルHD液晶、クアッドコアプロセッサ、2GBメモリなど、ハイスペックなスマートフォン。裏面にガラス素材を使ったフラットボディ

一部地域で発売されるXperia ZL。こちらはフラットデザインではなく、背面もプラスチック

それでも、クアッドコアプロセッサにフルHD液晶、大規模アプリの搭載など、ハードウェア、ソフトウェアともによりハイスペックになっている。加えて、カメラ機能も重視し、これらを「過不足なく気持ちよく使えるため」(黒住氏)に、内蔵メモリを2GBにするなど、バランスをとった仕様となっている。黒住氏は、「(これまでのモデルでも)コストとスペックのちょうどいいバランスでやっていたつもりだったが、市場でもメモリの少なさなどが言われていたのは理解していた。今回は、全体的にみてスペックを決めた」という。

スペックに加えて、ソニーの子会社となった現在では、Xperiaは”ソニーのスマートフォン”である。ソニー・エリクソン時代とは「立ち位置が違う」と黒住氏は説明する。ソニー・エリクソンからのこだわりに加え、ソニーとしても「妥協できないところ」として、カメラ機能があるという。

背面カメラ。画質は追求したが、カメラはあえて目立たないデザインにしてある

もともと、デジカメブランドのサイバーショットの名を冠した携帯電話を作るなど、ソニー・エリクソンの頃からカメラにはこだわりがあった。しかし、今回のXperia Zは、ソニーのスマートフォンとして、「クオリティが一段と上がっている」と黒住氏は強調。「ここまでよく撮れるスマートフォンのカメラはめったにない」と胸を張る。

Xperia Zでは、新たな撮像素子として「Exmor RS」を搭載している。これは、従来使われていた裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」に対して、回路を積層型構造にすることでより小型化を図ったほか、高感度での画質を向上。さらに、動画に対してHDRを適用する「HDRムービー」などの機能も追加している。

HDRムービーのデモ。HDRムービーがオフで室内に露出をあわせると、窓の外が明るくなりすぎてしまうが、オンにすると適正露出になり、これがプレビュー段階からリアルタイムで処理される

この新センサーや画像処理などの改善で、特に暗所での画質が「圧倒的に強くなった」と黒住氏。この画質改善の取り組みには、ソニーのデジカメ部門との協力が欠かせなかった。

暗所撮影の結果。大幅に明るく写っている

昨年9月にドイツで開催されたカメラ関連見本市「photokina 2012」で、デジタルイメージング事業本部の勝本徹副本部長(当時)は、Xperiaにデジカメ部門が協力して高画質化を追及する意向を示し、コンパクトデジカメ市場の縮小はスマートフォンの影響が大きいと認めつつ、拡大するスマートフォンに向けた画質向上の取り組みの必要性を指摘していた。