Microsoftは今後のクラウドコンピューティング時代を見据え、自社のオンラインストレージサービスであるSkyDriveに注力している。各OSやデバイス向けアプリケーションを用意してきた同社だが、今回新たにXbox 360用SkyDriveをリリースした。また、SkyDriveの展開に伴い、コンピューター間のファイル同期ツールであるWindows Live Meshの終了を公式に発表。今週はこの二つの話題に関するレポートをお送りする。
SkyDriveをサポートしたXbox 360
Microsoftはあらゆるデバイス上で同社のオンラインストレージサービスであるSkyDriveを展開するつもりのようだ。Windows OSやMacのOS Xにとどまらず、Windows PhoneやiPhone、Android向けアプリケーションをリリースしてきたが、新たにXbox 360用SkyDriveをリリースすることを、自社ブログである「Inside SkyDrive」の記事で発表した。SkyDriveのプログラムマネージャーであるDan Somrack(ダン・ソムラック)氏によると、ソシアルカテゴリーにあるSkyDriveを選択するだけで、すぐに同アプリが起動。オンラインストレージ上で共有した写真や動画を大画面テレビで楽しめるという(図01~02)。
もう一つの特徴が撮影した写真を即座に楽しめる"Snap and See"。Windows Phoneなどで撮影した写真をそのままSkyDriveにアップロードすることで、Xbox 360のSkyDriveが写真を検出。そのままテレビで撮影した写真を楽しめるというものだ。本機能を使用するにはXBOX LIVEとWindows Phoneで同じMicrosoftアカウントを使用している必要がある。近年の家庭向けテレビはSDカードスロットを備え、デジタルカメラで撮影した写真や動画を即座に楽しむことができたが、本機能は記録メディアに左右されず、オンラインストレージ経由でデータを参照できるのは実にスマートだ(図03~04)。
同氏はXbox 360向けSkyDriveの利用シーンを踏まえ、パーティ中に映し出すスライドショーを取り上げている。ディナーパーティのバックグラウンドで再生するスライドショーをイメージしたと述べているものの、このあたりはパーティ好きの米国的発想と感じるが、スライドショー機能が有用なのは確かだろう。
興味深いのはKinectを用いた音声コントロールとジェスチャーをサポートしている点。動画では、アジア系の女性がテレビに向かって「SkyDrive」と話すことで同アプリが起動しているが、Xbox 360コントローラーを手にしている。筆者はXbox 360を所有していないため、実際の動作がどのようになるか確認できないが、執筆時点ではXbox LIVEゴールドメンバーシップ購入者に使用は制限されるようだ(図05)。
なお、Xbox Liveゴールドメンバーシップは819円/月(三カ月は2,079円、一年間では5,229円)の有料サービス。コンピューター上では無償使用可能なサービスだけに、若干の違和感を覚えるのは筆者だけではないだろう。それでもオンラインストレージを用いたシームレスな環境が、今後標準的なスタイルになるのは火を見るよりも明らかである。SkyDriveだけのためにXbox 360やXbox Liveゴールドメンバーシップを購入するメリットは感じないものの、既存のユーザーには有益な機能となるだろう。