ゲッティ イメージズ ジャパンは、フォトグラファーやクリエイター同士の交流と、互いにインスパイアし合う機会の場として、ワークショップ「フォトグラファーズ・フォーラム東京」を開催した。

同ワークショップでは、第1部にロンドンのクリエイティブディレクターとプランニング担当によって、日本の作品に対する海外での評価の紹介と、現在求められている写真のトレンドが解説された。また、第2部では会場に招待されたフォトグラファーやクリエイターのプレゼンテーションを実施。本レポートでは、ストックフォトへの進出に意欲を持つ一般フォトグラファーにとっても興味深い話題となった、第1部の模様を紹介する。

海外における日本の写真の評価は?

第1部では、ビデオチャットによってロンドンとワークショップ会場を繋ぎ、ライブ中継によってプレゼンテーションを展開するという、同社としては実験的な試みが行われた。最初のプレゼンテーターは、日本のみならず、世界中から送られてくる写真を見る立場にある、クリエイティブディレクターのTom Hind氏。Hind氏は、西洋、特にロンドンとパリから見た日本の写真についての評価や、日本と西洋の共通点をアートとコマーシャルという違った焦点を当てて語ってくれた。

冒頭でHind氏は、写真評論家の竹内万里子氏の発言を例に出して、日本の写真の特徴について言及。「日本の写真の特徴は多様性にある。その多様性が生まれた理由として、日本には欧米のような強固なアートのマーケットが存在せず、また学校教育で表現のスタイルやトレンドを強く押し出すことをしないからだと言えるのではないか」という竹内氏の言葉を例に挙げつつ、Hind氏も日本の写真を見たときに同じことを感じると語った。

その後は、最近のロンドンで行われた展覧会の写真をスライドで表示し、日本から出展されたユニークな写真を紹介。こうしたコレクションは世界でも他に類を見ることがなく、この多様性が日本の特徴だとしている。

森山大道氏のコレクション『Provoke』

川内倫子氏のコレクション

さらに、世界に日本の写真を知らしめた写真家・森山大道氏のコレクション『Provoke』、多様性があり日本の写真の可能性が分かるという写真家・東松照明氏のコレクション、1990年代にブームが起きた写真家・川内倫子氏のコレクションを紹介。川内氏の写真に関しては、様々な場所へ恐怖心をまったく見せることなくアプローチしている点が面白く、現在のヨーロッパで人気と影響力のある写真家のひとりになっていると解説した。

その後には、日本人カメラマンがゲッティに提供した写真の中から、世界のベストセラーとなっている作品も紹介。会場では、"リラクゼーション"や"禅"をテーマとしたベストセラー作品が紹介されたが、それらに限らず日本の写真は、様々な経験をビジュアルとして具現化したり、コンセプトとして表現できるのではないかと考察している。

Hind氏は、さまざまな経験や感情を具体的にビジュアル化をした写真が、コマーシャル・フォトを買う人たちに求められている、と考えている。そして、アートとコマーシャルには繋がりがあり、まったく違うものではないと述べて、プレゼンテーションを締めくくった。

ベストセラーとなっている作品