同一ジャンルのMac定番ソフト2本を取り上げ、それぞれの得意分野を紹介するこの「Mac定番ソフト十番勝負!」。第2回目は前回に続き、「Microsoft Office」と「iWork」の対決だ。今回のテーマはプレゼンテーション、「PowerPoint」と「Keynote」を取り上げる。プレゼンテーションを行なう際に目指すところが「他の人より目立つこと」だとするならば、はたしてどちらのソフトがより「目立つ」ことができるだろうか?

プレゼンを定着させたソフト「PowerPoint for Mac 2011」

「プレゼンテーション」という言葉は日本ではそんなに古い言葉ではない。もちろん企画会議での提案など、書類を配ってそれを説明するという方法は昔からとられていたものの、プロジェクターで大きな画面を使って写真や画像を見せながら説明するというスタイルは、プレゼンテーションソフトが登場してから確立したものと言っていいだろう。

プレゼンを誰もが簡単に行うことができるようになったのは、マイクロソフトが発売した「PowerPoint」によるところが大きく、このジャンルでは不動の地位を誇っている。実はこのPowerPoint、そもそもはMac用のソフト「Presenter」として登場したものをマイクロソフトが買収したという経緯があり、バージョン4まではMac版が先行していたのだ。そういえばドラッグ&ドロップで画像を貼り付けられる使い勝手などは、Macの使用感のそれに近い。

PowerPoint for Mac 2011の基本画面

プレゼンソフトの基本は、言ってみれば「紙芝居」だ。説明したい内容を図版や写真、表、テキストなどを使って何枚かのスライドにまとめて聴衆に見せることを目的にしている。ただこのとき、聴衆の気を引くため、グラフを表示するときにバーをアニメーションで見せたり、スライドをめくるときに効果(トランジション)を付けたりして、できるだけ興味を持って見てもらうことを目指している。

PowerPointはアニメーションやトランジションなどを簡単に設定できるのがポイントで、効果の種類も多い。またExcelと同じく「標準」であるという部分で他のソフト・ハードとの互換性も高い。レンタル会議室などでもPowerPointを利用できる機材が用意されているところは多く、データのみを持ち込めばいいという利点もある。

Steve Jobsのために作られた「Keynote」

アップルのKeynoteは、登場当時まだ元気だったSteve Jobsが、あの有名な「魔法のようなプレゼン」を行うために自ら欲しいものを作ったと言われるプレゼンソフトだ。彼のプレゼンは製品としてのKeynoteが発表される前からこのソフトで行われており、一般に発売された際には大きな話題になった。

Keynoteの基本画面

もちろんプレゼンの効果は使うソフトだけで決まるものではないが、「聴衆の気をひく」という目的を考えたとき、誰も彼もが使っているPowerPointとは違う動きをする美しいプレゼンができればそれだけで注目を集められる。Keynoteの存在意義はまさにそこにあり、スライドの作り方はPowerPointとあまり変わらないものの、トランジションやアニメーションが全く違っていた。また画像やテキストが非常に美しく表示されることも大きな利点。とにかく人とは違うスライドを作りたいと考えた多くの営業企画の人たちが、KeynoteのためにMacに乗り換えたという話は少なくない。

もっとも、効果が特殊であるゆえに標準であるPowerPointとの互換性は高いとは言えない。それでもあらゆる環境でプレゼンを可能にするために、いくつかの書き出し方法を用意しているのもポイントだ。

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