人工衛星にも使われる強度の炭素繊維を採用

X1 Carbonはその名のとおり、天板にカーボン素材(CFRP:炭素繊維強化プラスチック)を使っている点が大きな特長だ。これまでのThinkPadシリーズでもカーボン素材を利用した例はあるが、X1 Carbonではグレードの高い特別なカーボン素材を採用する。

カーボン素材が使われた天板

ディスプレイサイズは14型ワイド

X1 Carbonでは、非常に高い強度を持つ炭素繊維を採用。素材の強度を示すヤング率は500Gpa台と人工衛星などにも使われているグレードのものだ。ちなみに通常、自動車に用いられているものが200Gpa台、航空機に使われているものが300Gpa台ということを考えると、X1 Carbonの炭素繊維の強度が想像しやすいかもしれない。

この炭素繊維を同一方向に並べ、シート状にした「プリプレグ」を直行方向に重ね合わせた板を2層の板を2組使用し、板の間に発泡樹脂を入れることで強度を維持しつつ比重を軽くしているという。

ボディ側にはマグネシウム合金製のベースカバーを採用するほか、ロールケージ構造を備え、質実剛健の「ThinkPad」らしい堅牢性となっている。

新世代ThinkPadを目指したデザイン

ThinkPadといえば、弁当箱からインスパイアされたという直線的なきょう体が大きな特徴だった。しかし、X1 Carbonでは「新世代ThinkPadのデザインとして飛躍を目指す」というコンセプトの下、これまでのイメージにはこだわらずにデザインの見直しが行われた。ボディの薄さをより強調するためにくさび型のデザインを採用し、天板のふち部分や側面部分で、これまでの製品以上に曲面的なデザインを採用している。

左右の外観。先端に向かって細くなるくさび形のデザインを採用。あらためてみると実に薄い

同じ14型ワイドディスプレイを搭載したThinkPad T430sと比較

横から見るとX1 Carbonの薄さが一目瞭然だ

X1 Carbonのディスプレイを閉じた状態とT430sの本体部分の薄さが同じ程度に見える

また、X1 CarbonではThinkPadとしては初めて、ヒンジ軸がボディ側に配置されたドロップダウン型のヒンジを搭載する。多くの場合、ドロップダウンタイプのヒンジでは、ディスプレイが180度開くことは難しいが、相手に画面を見せるときなどの使いやすさを考え、「ThinkPad X1 Carbon」ではこれまでのThinkPadと同様に180度開くことが可能だ。

背面部分。インタフェース類の配置はない

背面部から見たヒンジ

ヒンジを正面からみたところ。本体側にヒンジの軸があるのが分かる

T430sはディスプレイ側に軸がある

約180度開くことが可能

インタフェース類は、USB 3.0×1、USB 2.0×1(電源オフ時も充電が可能)、Mini-Displayport、4in1メディアカードリーダー、Webカメラ、マイク入力/ヘッドホン出力コンボジャックとほかの薄型ノートと変わらず必要最低限に絞り込まれている。

右側面にはUSB 3.0、Mini-Displayport、4in1メディアカードリーダーを配置。通常USB 3.0ポートはコネクタが青いのだが、X1 Carbonではデザイナーの強い要望でコネクタを黒くしている

左側面にはUSB 2.0×1、電源コネクタ、排気孔を配置

イーサネットポートがないことをどう捉えるかは利用するユーザーの環境によるだろう。薄型ノートでは、イーサネットポートが非搭載のモデルが多い。もちろんイーサネットアダプタを利用することで対策はできるが、ビジネス向けとされるThinkPadでそれが取り外される意味は大きいと感じる。X1 Carbonはコンシューマ側に少し歩み寄った、そんな製品といえるのかもしれない。一方で、ビジネス向けPCらしく指紋センサーを搭載し、セキュリティ面も考慮されている。

右パームレストに指紋センサーを搭載

そのほかインタフェースとして、720pのWebカメラも備えている

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