ソニーから、Androidタブレットの新モデル「Xperia Tablet S」シリーズが登場した。従来まで「Sony Tablet」と呼ばれていたが、スマートフォン「Xperia」シリーズとのシナジー効果を高めるため、ブランドをあらたに「Xperia Tablet」として再出発することになった。その第1弾となる製品が、このXperia Tablet Sである。

液晶サイズは9.4型、表示解像度は1,280×800ドットと、従来モデルのSony Tablet Sシリーズと全く同じだが、ボディは大幅な薄型化を実現するとともに、重量も軽くなった。また、搭載プロセッサは、従来モデルのNVIDIA Tegra 2(1GHz)だったのに対し、クアッドコアプロセッサであるNVIDIA Tegra 3(1.5GHz)に強化された。CPUの処理能力はもちろん、GPUの強化によって描画能力も向上し、通常の操作から3Dゲームまで、非常に快適に動作する優れたパフォーマンスが実現されている。

ソニーの最新Androidタブレット「Xperia Tablet S」。1,280×800ドット表示対応の9.4型液晶を搭載する点は従来通りだが、薄型軽量化を実現。またプロセッサもTegra 3搭載にパワーアップしている

■主な仕様(2012年)   [製品名]  Xperia Tablet Sシリーズ   [OS]  Android 4.0(Ice Cream Sandwich)   [CPU]  NVIDIA Tegra 3 モバイルプロセッサ(1.5GHz)   [メモリ]  1GB;  [ストレージ]  16GB / 32GB /64GB;  [ディスプレイ]  9.4型ワイドWUXGA(1,280×800ドット)、マルチタッチ対応   [カメラ]  フロント100万画素裏面照射CMOS、リア800万画素裏面照射CMOS   [バッテリ容量]  6,000mAh   [バッテリ駆動時間]  約10時間   [防滴性能]  IPS4相当   [本体サイズ/重量]  W240×D174.2×H8.8~11.85mm/約570g   [店頭予想価格]  16GBモデル:40,000円前後、32GBモデル:48,000円前後、64GBモデル:56,000円前後  

市場想定価格は、内蔵ストレージが16GBのモデルで40,000円前後、32GBモデルで48,000円前後、64GBモデルで56,000円前後となっており、価格的にも十分に競争力がある。今回は、64GBモデルを試用できたので、前後編の2回に分けてじっくり見ていきたいと思う。

【レビュー】ソニーの最注目タブレット「Xperia Tablet S」を試す

前編 - 端末仕様と専用アクセサリーをチェック後編 - 独自アプリや機器連携の使い勝手はいかに?

従来モデルとボディ形状を比較

Xperia Tablet Sの本体デザインは、従来モデルとなるSony Tablet Sと同じコンセプトで、本や雑誌を開いて裏側に折り返したような、独特のデザインを踏襲している。ただ、高さが大幅に薄くなったことで、手に持った時の印象が大きく異なっている。

液晶パネルのサイズは9.4型と従来と同じため、本体のフットプリントは幅240×奥行き174.2mmと、こちらも従来モデルとほとんど同じ(幅が1.2mm、奥行きが0.1mm小さくなっている)だ。しかし、高さが8.8~11.85mmと、最厚部で比較すると従来モデルより8.75mmも薄くなっている。実際に横に並べて比較すると、大幅に薄くなっていることがよくわかる。実際に手に持つと、従来モデルと比べて数字以上にコンパクトになったという感触が伝わってくる。また、後方が若干厚くなっていることで、縦位置や横位置で持つ時にも、その部分がグリップとなってしっかりホールドできる点は従来同様で、持って使う場合でも安心感がある。

本体の薄型化とともに、重量も従来モデルから28g軽くなり、570gとなっている。数字的にはそれほど軽くなっていないと感じるかもしれないが、本体の薄型化と相まって、実際に手にすると、この数字以上に軽く感じる。この薄さと軽さならば、ブリーフケースなどの薄型のカバンにも楽に収納し持ち運べるだろう。

液晶サイズが従来モデルと同じこともあり、フットプリントは幅240×奥行き174.2mmと、ほとんど変わっていない

左側面。雑誌を折り返したような従来モデルの独特なデザインは踏襲しているが、高さは8.8~11.85mmと大幅に薄くなっている

従来モデル(右)より高さは最大8.75mmも薄い。並べてみると、違いがよくわかる

右側面。上部の折り返し部分がグリップになって、縦画面、横画面ともしっかりホールドできる

本体手前。こちらは高さが8.8mmしかなく、かなり薄い

本体後方は、従来モデルと同じようなデザインだが、薄くなったことで携帯性が大きく向上している

黒の再現性に優れる液晶パネルを採用

液晶パネルは、1,280×800ドット表示対応の9.4型ワイドと、従来モデルと同じだ。ただ、パネルとして、ソニーの液晶テレビ「ブラビア」シリーズで採用されている、“オプティコントラストパネル “を採用している。一般的な液晶パネルでは、液晶と表面のガラスの間に空気層があり、外光の映り込みや白ぼやけの原因となっているが、オプティコントラストパネルでは、空気層に樹脂を流し込むことによって、外光の映り込みをおさえるとともに、暗いシーンでの白ぼやけを防いで、深い黒を再現するとしている。

実際に、従来モデルと並べて同じ映像を再生してみたが、確かに暗いシーンでの黒の部分の深みが高まっていると感じた。このクラスのタブレットでは、映像を楽しむことが多いため、より鮮明で質の高い映像が表示される点は、大いに歓迎できる。

また、液晶表面も特殊な加工が施されており、非常に摩擦係数が低くなっている。これによって、指が引っかかることなく快適なタッチ操作が行えるようになっている。実際に、スワイプなどの操作もスイスイと滑るように指が動き、非常に快適だ。

液晶パネルは、従来モデル同様、1,280×800ドット表示対応の9.4型ワイド液晶を搭載。表面は光沢処理が施されている

液晶表面は、特殊加工により摩擦係数が非常に低くなっている。タッチ操作でも指が引っかからずスムーズに操作可能だ

Xperia Tablet Sでは、「ブラビア」シリーズと同じ”オプティコントラストパネル”を採用。従来モデル(右)は若干青みがかった発色だが、Xperia Tablet Sはナチュラルな発色となり、黒の再現性にも優れる