今年の4月12日、富士ソフトと日本マイクロソフトは、電力量・温度・湿度・CO2排出量などの環境情報を可視化するソリューションの提供を連携して推進する発表した。これに伴い、富士ソフトは、日本マイクロソフトのクラウドサービスや機器への組込み技術を活用し、住宅、オフィス、店舗、工場など幅広く対応するEMS(エネルギーマネジメントシステム)の環境情報見える化ソリューションとして「FSGreen EMS」を提供開始した。

「FSGreen EMS」は、日本マイクロソフトの小型機器向け開発・実行環境である「.NET Micro Framework」や組込み機器向けOS「Windows Embedded」を様々なセンサーに実装したほか、情報の集約先として日本マイクロソフトのクラウドプラットフォームである「Windows Azure Platform」を活用する。これにより、環境情報をスマートフォンやタブレット端末などの機器からいつでも確認できる。

「FSGreen EMS」システム概要図

「FSGreen EMS」の価格は、初期導入費が25万円~、運用費が2万5,000円~/月(いずれも税別)。

ハウジングワールド立川内のモデルルーム

そして、益田建設では、同社のエコ住宅「イデアホーム Twiny」にて次世代型ハウスマネジメントシステムとして「FSGreen EMS」をカスタマイズし、「i-HEMS」として採用。モデルハウスを東京都立川市のハウジングワールド立川内に設置し、7月14日から公開した。

モデルルームでまず目を引くのが、風力発電用の風車。高さ13mの高さに2.5mの風車が取り付けられ、5kWの発電を行う。発電した電力は専用の蓄電システムに蓄えられる。風車を造るにあたっては、特別な許可は必要なく、設置費用は500万円程度だという。

風力発電には、九州大学が開発に携わった「風レンズ風車」を採用。プロペラの周りをレンズと呼ばれる囲いにより、風車の後方に強い渦を発生させ、小型化を達成したという。取材日は比較的風が強く、風車が勢いよく回っていたが、音は非常に静かだった。

また、屋根には太陽光発電パネルも取り付けられ同じく蓄電システムに蓄えられる、これらの発電情報や蓄電情報は、「i-HEMS」と通信しながらクラウド上に蓄えられていく。

風力発電用の風車と屋根に設置された太陽光発電パネル

1階の納戸に置かれた可動式蓄電システム。電池容量は5,000Whで、200Wの電灯なら24時間利用できる。コンセント×3を備えるほか、USB充電もできる。充電と放電の切り替えは20msで行えるという

クラウド(Windows Azure)とのデータのやり取りは、分電盤内に置かれたルータが行う。ルータは一定間隔で通信し、風力発電や太陽光の発電量、家での電力使用量、電力会社からの買電量、電力会社への売電量、家の気温などのデータを蓄える。そして、これらの情報はWindows PCやiPadなどのタブレットでいつでも確認できる。

分電盤内に置かれたルータ

iPadで電力の利用状況が確認できる

また、スマートフォンを利用して外出先からエアコンのON/OFF、浴室のお湯はりなどの指示も行える。外出先からの指示データはクラウドに貯められ、その情報をルータが定期的に情報を取得。その情報が室内のLANに接続したリモコン「iRemocon」に伝えられ、エアコンのON/OFFを行う。「iRemocon」は、エアコンのリモコンの代わりをする装置で、通常のリモコンと同じように、各機器に赤外線通信で動作を指示する。

外出先でiPhoneからエアコンのON/OFF、給湯指示を行うことができる

部屋に置かれた「iRemocon」

イデアホームでは、空調・給湯等を外出先から制御可能なほか、蓄熱床暖房の蓄熱時間を温度や気象条件から制御することもできる。

「i-HEMS」の構成図

富士ソフトの担当者は、データの保存先としてAzureを選択した理由を、Windows ServerやIISのことで悩む必要がなく、アプリ開発に集中できる点を挙げた。

「FSGreen EMS」の運用費は月額2万5,000円~/月(税別)だが、共用も可能なので、i-HEMSでは実際にいくらで提供するかを、今後検討するという。

モデルルームのリビング

キッチン

ダイニング

浴室

2階の居室