電子製品が環境に与える影響を総合的に評価するEPEATのレーティングから製品を取り下げた米Appleが、再び同社製品をEPEATに申請した。同時に同社のWebサイトにハードウエアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントBob Mansfield氏の声明文を掲載。同氏は「(登録取り下げは)誤りだった」と述べている。

Appleは数多くの製品でEPEATの最高評価であるEPEATゴールドを獲得しているが、分解やパーツ交換を重んじるEPEATの評価基準と、近年のAppleの設計思想が相容れず、ポストPC戦略に舵を切るAppleがEPEATから手を引いたと見られている。しかしながら、環境に優しい電子製品を見分ける方法としてすでに広く浸透しているEPEATを否定したような行動の影響はAppleの予想以上に大きかったようだ。Mansfield氏の声明文は「Apple製品を愛する数多くのユーザーから、EPEATレーティングシステムから製品を取り下げたことを知って失望したという声が届いた」と始まっている。同氏が「誤りだった」としているのは、EPEAT登録取り下げが、これまでAppleを信頼して製品を使ってきたユーザーのプライドを傷つけるような行為になったことを指す。その上で同氏は、AppleがBFRやPVCなど有毒物質を排除し、ENERGY STAR 5.2の基準を上回るなど、製品の環境への影響の低減に積極的に取り組んでいると指摘。EPEATがレーティングシステムのベースとしているIEEE 1680.1が、こうした先進的な環境保護策を反映することでIEEE 1680.1の効果がさらに高まるとした。AppleとEPEATの間には依然として溝が存在する模様だが、「今回の経験からEPEATとの関係がより堅固なものになった」と今後の改善を示唆している。

一方、EPEATのCEOであるRobert Frisbee氏はAppleの決断を歓迎すると共に、「環境標準が想定していないイノベーションを、どのように評価するかはEPEATの課題である」とコメントしている。

すでにEPEATの製品データベースにApple製品は再登録されており、12日時点で40製品がEPEATゴールドの格付けを受けている。