AppleのApp Storeにおいて、アプリを配信する過程でファイルが壊れる問題が発生した。これはInstapaperを開発するMarco Arment氏の報告で明らかになったもので、壊れたアプリはインストール後に起動しようとするとすぐにクラッシュして閉じてしまう。すでにAppleが問題解決に取り組み、正常なアプリ配信が回復した模様だが、米国の独立記念日(7月4日)にタイミングを合わせてたくさんのアプリがリリースされており、同氏によると数日の間に数多くの起動トラブルを起こすアプリが配信された。

Arment氏によると、4日にInstapaper v4.2.3のアップデートの配信がApp Storeで始まった直後から、同アプリのサポートやTwitterアカウントに、最新版が正常に起動しないというユーザーからの問い合わせが殺到した。調べたところ、XcodeからApp Storeに提出したアーカイブは正常に動作するが、App Storeからダウンロードしたアプリは、アップデートまたはクリーンインストールした場合でもすぐに落ちてしまう。トラブルはいくつかの地域のユーザーに限定して起こり、FairPlayのエラーがコンソールに表示されるケースもあった。

App Storeがバイナリーを処理する過程でファイルが壊れると考えた同氏は、Appleに問題を知らせ、同時にTwitterなどで情報を収集したところ、Angry Birds SpaceやGoodReader、mixi、Yahoo! Searchなど多数のアプリに同様の問題が起こっていることがわかった。その1つであるmixiは5日時点で、以下のようなメッセージをApp Storeに掲載している。

本日(2012年7月5日)アップデートされた一部の端末におきまして、アプリが起動しない現象が発生しています。原因は現在調査中ですが、他アプリでも同様の現象が発生しているとみられ、時間をおいて再インストール頂くことでご利用いただける場合がございます。

アプリが壊れる問題は、7月3日-5日の3日間にリリースされたアプリに集中しているという。またArment氏によると、iOS用のアプリだけではなく、Mac用ソフトウエアにも同様の問題が起こっている。ただしInstapaperの場合は問題が短時間で解消され、同氏がAppleに報告してからしばらくして正常に起動するInstapaperの配信がApp Storeで始まった。壊れたアプリをインストールした場合、アプリを削除し、App Storeから再インストールすると正常に動作するという。

しかしながら5日時点で、Arment氏の問い合わせに対するAppleからの回答はないという。アプリが起動しなければ、ユーザーはすぐに厳しいレビューを付ける。問題が再発する可能性もあるため、同氏はアプリ開発者に対して、今回問題が起こった原因がはっきりするまでは、急を要するケースを除いてアップデートの提供を延期するように勧めている。