7月リリース予定のOS X Mountain Lionで注目されている新機能の1つに「通知センター」がある。多くのMacユーザー、そして開発者がOS Xによる通知サービスのサポートを歓迎しているが、気になるのはMacの通知ユーティリティの定番となっている「Growl」との関係だ。すでに300を超える開発者がGrowlをサポートしており、Growlを日常的に使用しているMacユーザーも多い。2つの通知ユーティリティが衝突して、通知の利便性が損なわれるのは避けて欲しいところである。13日(米国時間)にGrowlのChris Forsythe氏が、公式ブログでGrowlの通知センター対応を説明した。「攻撃的なスタンスをとって『いや、Growlの方が素晴らしい!』と叫ぶこともできた……しかし、通知センターをサポートせず、われわれを支援してくれた開発者を放り出すのは無責任なことであり、だから通知センターを受けれることにした」と語っている。

Growlはバージョン1.3のSDKにMistという新機能を追加した。これはGrowlがインストールされていない環境でも、アプリケーションがGrowl通知を生成できるようにするものだ。ユーザーのMacでGrowlが動作していれば、Growlのフル機能を利用でき、Growlが動作していないMacでもアプリケーションは通知表示のみユーザーに提供できる。この仕組みをOS X Mountain Lion向けに改良する。Growlが動作していれば、Growlが機能する。Growlが動作していない場合、OSがSnow Leopard (v10.6)またはLion (v10.7)ならばMistが通知を表示し、Mountain Lionならば通知センターに通知を表示させる。

「(開発者が)コードを書き直す必要はないのが、この方法のメリットだ。アップデートされたGrowl.frameworkに対応するか、XPCをアップデートするだけで完了だ。それだけで通知センターをサポートできる。もしGrowlが動作していれば、Growlを使える。非常にシンプルな通知体験であり、Growlを使いたいユーザーも、そして通知センターを使いたいユーザーもハッピーになれる方法だ」(Forsythe氏)。

OS X Mountain Lionの通知センターを利用できるのはMac App Storeで配信されているアプリケーションだけであり、Growlはそのほかのアプリケーションと通知センターの橋渡し役になり得る。Forsythe氏は「開発者がそれぞれのペースでGrowlから通知センターへ移行する手助けをしたい」と述べている。だが、Mac用ソフトウエアをMac App Storeに集中させたいAppleの意向に沿わない面もある。GrowlがMac App Store配信アプリであるのを利用した共存策を、Appleが受け入れるか注目である。