日本ヒューレット・パッカードは15日、18.5型ワイドの液晶ディスプレイ一体型ゼロクライアント「HP t410 All-in-One Smart Zero Client」を発表した。販売代理店などを通じて7月下旬より発売し、予定価格は35,000円前後。
PoE(Power over Ethernet)機能により、LANケーブルで通信と電源供給を行うため、必要なケーブル類はLANケーブルのみ。ディスプレイを含めた消費電力は13W以下で、同社の計測によると、2年前のセパレートPCと19型ディスプレイの組み合わせと比べ、20分の1の消費電力を実現したという。また、設置に当たって必要なコンセント数も減らすことが可能になる。
ディスプレイに3M(スリーエム)が開発した最新フィルム「DBEF」(Dual Brightness Enhancement Film)を採用。バックライトの光を有効活用することで、通常のディスプレイと同じ輝度を維持しつつ、消費電力を低減している。
ディスプレイの構造と「DBEF」(Dual Brightness Enhancement Film)の仕組み。通常は吸収されてしまうS波の光を反射させて再利用することにより、透過する光P波の量を多くする |
日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部 本部長 九嶋俊一氏 |
「HP t410 All-in-One Smart Zero Client」は、カーネルとデバイスドライバ、データセンターに接続する画面転送プロトコルのみの実装となっており、接続した段階でネットワーク上から設定情報などを取得する仕組みとなっている。
一方で、「昨今のシンクライアント環境では映像などのリッチメディアを流す機会が多い」(日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部 本部長 九嶋俊一氏)という状況を考慮し、SoCにDSPを搭載し、映像のデコードやプロトコルの処理を行い、低消費電力ながら性能を維持しているという。
対応プロトコルは、Citrix ICA 12 with HDX、RDP 7.1 with Remote FX、VMware View with RDP(Teradici Optimized PCoIP)。
ハードウェアの主な仕様は、CPUがARM Cortex A8(1GHz)、システムメモリが1GB、フラッシュメモリが2GB、18.5型ワイドディスプレイ(1,366×768ドット)。
インタフェースは、ギガビット対応有線LAN、USB 2.0×4、マイク入力×1、ヘッドフォン出力×1。本体サイズはW449.3×D159.1×H341mm。重量は3.65kg。
物理的にスイッチングハブが置けないなどの場合に備えて、AC電源で駆動するモデルも用意する。ノートPCでも同様にPoEで駆動する製品の予定は、「現段階の時点では特にない」とした。