Appleが販売するiPhone向けの「USB電源アダプタ」。iPhoneを購入すると標準で付いてくるものの、いざ別個に購入しようとすると29米ドル(日本では2,800円)という価格で、他社の同種製品に比べてもちょっと高価だと感じるユーザーは多いだろう。だがこのアダプタを分解し、その中身が思った以上に技術の固まりだと報告するBlogが現れてちょっとした話題となっている。
分解レポートを行っているのはKen Shirriff氏で、自身のBlogの中で画像付きでその様子を紹介している。AppleのUSB電源アダプタはAC電源をUSB出力に変換するもので、本体は一片が3cmという小型サイズでほぼ立方体の形状をしている。このシンプルな形状と機能の割には日本円で3,000円近くと高めで、Shirriff氏がいうようにSamsungなどが販売する同種の製品と比較しても倍以上の値段(例えばSamsungの製品は6-10ドル程度)はする。
だが実際にAppleのUSB電源アダプタを分解してみたところ、小型の筐体には干渉を防ぐためのコンデンサ部品(タッチスクリーンとの干渉の可能性があるという)や2枚の超小型の制御基板など、多くの部品や技術が詰め込まれており、比較として挙げたSamsungの同種の製品と比較してもより多くのコストと手間がかかっていると評価している。だが一方で、20~30ドルの販売価格帯は実際のコスト上昇分と比べても高く、利益率は相当に高いとの見方だ。
またShirriff氏は電源プラグの金属部分の強度にも触れている。Appleは2008年にリリースしたiPhone 3G向けのUSB電源アダプタにおいて、特定の状況で金属部品が脱落してコンセント内部に刺さったままになるという問題で製品のリコールを行っている。現在販売されているアダプタはその改良版にあたり、分解レポートにおいても金属部分の取り外しが非常に困難だったことを報告している。
結論としては、他製品よりかなり高価ではあるものの、それ相応の品質を持ったのがApple版のUSB電源アダプタであるということのようだ。一方、数ドル程度で購入できる同種の安価な製品については、使用部品や品質などの面において保証できず、危険な可能性があるとの分析でレポートを締めくくっている。