IBM、ビッグデータの分析でビジネス課題の解決策を瞬時に提示する製品

日本アイ・ビー・エムは5月10日、ビッグデータを用いた高度な分析により、売上拡大や顧客のビジネス課題の解決を支援するソリューションの提供を開始した。

今回、提供が開始されたのは、企業内のデータを可視化し、ビジネス課題の原因特定などを瞬時に行う経営管理ダッシュボード「CFOパフォーマンス・インサイト」と、ビッグデータを分析して、次に起こすべき最適なアクションを企業が直接顧客と接触する顧客接点にタイムリーに提示する「ネクスト・ベスト・アクション」だ。

常務執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業 コンサルティング・サービス 兼 ビジネス・アナリティクス&オプティマイゼーション担当 鴨居達哉氏は、両製品を提供するに至った背景を次のように語った。

「われわれは、アナリティクス関連のソリューションを『IBM スマーター・アナリティクス』として提供をしているが、その大前提が『企業の変革の実現』だ。当社が実施した調査でも、高度なアナリティクスを活用する企業はそうではない企業よりも収益成長率が高いといった結果が出ており、今回提供する2製品は、経営に直結するもの。これまでもビジネス課題に対応したソリューションを提供してきたが、新製品は『よりビッグデータに対応』『シミュレーションを統合して高度化』という特徴を持っている」

同社は、ビジネス課題に対応したソリューションのカテゴリーとして、「グローバル経営ダッシュボード」「統合リスク管理」「グローバル・サプライチェーン最適化」「カスタマ・インサイト」「情報活用基盤」「コンテンツマネジメント」を定義している。

これらのカテゴリーのうち、「経営管理」と「統合リスク管理」をカバーするのがCFOパフォーマンス・インサイトだ。同製品は、ビジネス状況や市場の特性を踏まえ、顧客に最適な業績管理指標を同社のソフトウェア群に設定することで、社内のデータに基づく高度な分析を実現する経営管理ダッシュボード。

その特徴は、指標や切り口を設定すると、経営における問題個所を予測することに加え、因果関係を分析して原因まで即座に提示する点だ。製品としては、データウェアハウス・アプライアンス「Netezza」、統計解析ソフト「SPSS」、BIソフト「Cognos」などが利用される。

同製品の提供にあたっては、経営管理上の課題を特定し、IBMアセットの活用による課題解決案を策定する「企画支援サービス」が提供される。具体的には、マネジメントチームに依頼された第3者チームが4週間(標準)で改善機会の可視化を行い、報告を行う。アウトプットとしては、「現状分析結果」「可視化施策定義」「改革テーマ定義」「実現ロードマップ」などが提供される。

ネクスト・ベスト・アクションは、企業内の顧客情報やコールセンターのコンタクト履歴に加え、スマートフォンやソーシャル・メディアへの書き込み、オンライン・ストアでの購買履歴といった、時々刻々と入ってくる消費者の行動データを統合して瞬時に分析し、最も購買につながりやすいアクションを数秒以内で顧客接点にフィードバックする。

製品としては、SPSS、ビジネスルール管理製品「ILOG」、統合マーケティングプラットフォーム「Unica」などが利用される。

CFOパフォーマンス・インサイトと同様に、ネクスト・ベスト・アクションについても、各種チャネルからリアルタイムで集まる顧客の行動情報を瞬時に分析し、顧客接点での対応を最適化することで、購買確立の向上や離反防止を実現する「企画支援サービス」が提供される。具体的には、グローバルのベストプラクティスをベースに、3週間(標準)で目指す姿のブループリント定義、期待効果試算、目指す姿実現に向けたロードマップを作成する。

ビッグデータの専門組織「チーム・ビッグデータ」は、リーダーの下、「データプラットフォーム」「先進アナリティクスソリューション」「業種別担当」という3つのチームが設けられている。

データプラットフォームチームは、ビッグデータの処理パターンに応じた最適なアーキテクチャの設計、情報基盤全体のグランドデザイン設計と構築などを手掛ける。

先進アナリティクスソリューションチームは、コンサルタントなどから構成され、顧客のビジネスにおけるビッグデータ活用機会を特定し、投資対効果を可視化する。

業種別担当チームは、事例を活用し、顧客のビッグデータ課題に対する最適なソリューションを提案し、顧客のトランスフォーメーションの実現まで支援する。