KDDIは30日、2011年4月から2012年2月にかけて発生した計5件の通信障害の原因を公開。今後の対応策を発表した。同社ではこの一連の重大事故を受け、社長を委員長とする「調査委員会」を2012年2月14日に設置し、再発防止に向け、総務省の指導および携帯電話通信障害対策連絡会での要請事項に応じた各種総点検を実施。改善策の策定とその実施に取組み、その結果を本日(3月30日)、総務省に報告した。

調査委員会 体制図

重大事故(5件)の原因と対策

  • 2011年4月30日には、au携帯電話(スマートフォン含む)のデータ通信が利用しづらい状態となった(対象エリア、全国)。障害原因はパケット設備(ネットワーク設備)の不具合で、施した対策は同一機種の筐体を全て交換(完了)、冗長機能不備の対処として、システムの動作不安定を予防する機能の追加(完了)、故障を早期に検知するため、アラーム発報機能の追加(完了)。

  • 2011年11月2日には、au携帯電話の発着信、Eメールの着信お知らせ、Cメールの発着信が利用しづらい状態となった(対象エリア、埼玉県等の一部)。障害原因は交換設備(交換機)の不具合で、施した対策はソフトウェア更新時の正常性確認手順の追加(完了)、万一の同一事象発生時における復旧手順の確立(完了)、ソフトウェア更新時に片系運転にする必要がないようシステム改修を実施(次回ソフトウェア更新時に実施予定)。

  • 2012年1月25日には、au携帯電話サービスが利用しづらい状態となった。また、固定通信サービス(メタルプラス電話、ケーブルプラス電話など)および法人系サービスにおいて利用できない状態となった(対象エリア、東京都西部)。障害原因は伝送設備の不具合で、施した対策は制御基盤の定期的な点検(メモリリセット作業)、万一の同一事象発生時における復旧手順の確立(完了)、メモリの処理容量不足時の冗長切替機能(ソフトウェア改修)の追加(2012 年 9 月末完了予定)。

  • 2012年2月9日には、auスマートフォンのデータ通信サービスおよびリモートアクセスサービスが利用しづらい状態となった(対象エリア、全国)。障害原因はパケット設備(ネットワーク設備)の不具合で、施した対策は故障を起こした同一カード全数の正常性確認(完了)、パケット信号のループ防止機能の追加(完了)。

  • 2012年2月11日には、au携帯電話(auスマートフォンを含む)において、Eメール送受信(ezweb.ne.jp)が利用しづらい状態となった(対象エリア、全国)。障害原因は電源設備の不具合で、施した対策は点検手順の見直し(完了)、作業部門とサービス監視部門の連携強化(完了)、新組織「電力インフラ対策室」設置による管理体制強化(2012年4月設置)。

今後の改善策

今後の改善策としては、通信量の増加に適切に対応するための電気通信設備の増設、スマートフォンによるデータトラフィック急増に適切に対応するため対象システムを拡大し点検・確認すること、電気通信設備の故障等の発生に対応するための適切な予備設備の配備および監視体制の構築、「特別通信対策室」ならびに「電力インフラ対策室」を新設すること、社内連絡体制の強化、故障情報公表へのソーシャルメディアの活用、などの取り組みを挙げている。

また、「携帯電話通信障害対策連絡会」の要請事項に対する取組みとして、冗長機能に不具合が生じないこと、設備の設計・設定・配備に誤りがないこと、ソフトウェアに不具合がないこと、電源設備で障害が発生しないこと、不正プログラムの混入等がないこと、工事の際の手順に誤りがないことの6項目を挙げ、それぞれの項目に対して、ガイドラインの制定や対策室の新設、組織・体制の強化、手順の点検・整備などの詳細な対応策を策定した。

(記事提供: AndroWire編集部)