Windows 8 Consumer Previewが一般公開されて十日ほどたち、注目のMetroアプリケーションもわずかだが用意されている。昨年からMicrosoftは「First Apps Contest」というイベントを開催し、Metroアプリケーションの推進を行ってきたが、現在は「『はじめてのアプリコンテスト』の受賞作品」として試すことが可能になった。そこでお勧めのMetroアプリケーションの紹介と、昨日開催された「Microsoft TechFest2012」で注目の研究結果をかいつまんで紹介する。

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「First Apps Contest」に入賞したMetroアプリケーション

多くのユーザーがWindows 8 Consumer Previewを導入し、新しい世界を満喫していることだろう。だが、現時点ではタッチパネル型のインターフェースを備えるコンピューターも少なく、Metroアプリケーションも出そろっていないため、Metroスタイルの世界に戸惑っている方ばかりではないだろうか。

Windows 8 Consumer Previewと同時に公開されたWindowsストアには、いくつかのMetroアプリケーションが並んでいるものの、実際に試している方は少ないかもしれない。そこでWindowsストアの先頭に掲げられている「『はじめてのアプリコンテスト』の受賞作品」を試してほしい(図01)。

図01 Windowsストアのスポットライトに並ぶ「『はじめてのアプリコンテスト』の受賞作品」

Microsoftは以前からMetroスタイルの拡充を図るため、Metroアプリケーションのコンテスト「Windows 8 First Apps Contest」を開催していたが、このページに並ぶMetroアプリケーションは、その受賞作品なのである。ひとつめはJujuba Software社の「Elements Weather Forecast」。一週間の天気予報を一覧表示Metroアプリケーションだ。

最初に起動するとGPSによる位置取得を求められるが、同様のデバイスを内蔵していないコンピューターで使用する場合は、アプリバーの「都市を追加する」ボタンをクリックして、自身の場所から一番近い都市を選択すればよい。ちょうど執筆時の東京は雨だったため、背景画像も豪雨の写真になっているが、天候によって画像は自動的に変化するようだ(図02~04)。

図02 アプリバーから「都市の追加」ボタンで天気予報を表示する都市を選択できる

図03 執筆時の東京は雨だったので、背景画像も冷たい雨を感じさせる画像が表示された

図04 「Elements Weather Forecast」はMetroアプリケーションのため、スナップビュー表示にも対応している

もうひとつはGreenfield Technologies社の「PuzzleTouch」。単純なジグソーパズルだが、その特徴はピースのドラッグ&ドロップ感。あらかじめ用意された画像か任意の写真(自身で用意した画像や内蔵カメラで撮影した画像)を選択するとゲームがスタートするのだが、ランダムに配置されたピースをドラッグし、正しいピースと隣接すると「カチッ」という音と一緒にはまっていく感じが実に心地よい。

難易度は四段階。一番簡単は「Easy」は12ピースだが、一番難しい「Difficult」は35ピースとやや多い。多くの人がかなりの時間を費やしている「ソリティア」「マインスイーパ」のように、シンプルで暇つぶしに最適なゲームになりそうな印象を受けた(図05~07)。

図05 最初に難易度ごとに分けられた画像を選択する。「Create a puzzle from~」を選択すると自身の画像や撮影した写真を ジグソーパズルにすることも可能

図06 ランダムに配置された各ピースをドラッグ&ドロップで正しい場所に配置する一般的なジグソーパズルだが、操作感覚が心 地よい

図07 完成すると所要時間に伴うランクが表示され、再プレイや次のゲームを選択できる

このほかにも、数年前に流行った物理法則ゲームの「Physamajig」や、スライディングブロックパズルの「FlipSaw」、レシピブックである「CookBook」なども用意されているが、筆者の感覚で紹介に値するのは冒頭で紹介した二品のみ。Windowsストア開発者向けブログである「Windows Store for developers」では、株価をチェックする「SigFig Portofolio」も紹介されていたものの、株式売買の仕組みが異なるためか、日本のWindowsストアには表示されなかった。

そもそもメインターゲットであるWindows 8 Consumer Previewはベータ版であり、Windowsストアも一般公開されたばかり。Metroアプリケーションの開発に必要な「Microsoft Visual Studio 11」もベータ版。そのため、Windowsストアに並ぶMetroアプリケーションも限られているのが現状だが、開発自体はXAML(Xtensible Application Markup Language)やJavaScriptなどで手軽に行える。想像したほど使いにくくないMetroデスクトップと快適に動作するWindows 8 Consumer Previewを踏まえると、Metroアプリケーションの拡充に期待を持ってもよさそうだ(図08)。

図08 Metroアプリケーションの開発に用いる「Microsoft Visual Studio 11ベータ版」