NECは3月5日、東海大学の学生用教育端末と職員用業務端末のシンクライアント化と約5万のIDの統合を実現し、同大学のプライベートクラウドを構築したと発表した。

東海大学は現在、全国10ヵ所にキャンパスがあり、各キャンパスで個別に行っているシステム運用業務の効率化やキャンパス間のシステム重複をなくすため、プライベートクラウドを利用したシステム統合を推進している。この一環として、NECは学生用教育端末約2,200台をシンクライアント化した。

これを機に東海大学は、学生・教員向けの教育研究サービスを湘南キャンパスに順次統合することを目指す。具体的には、メールサーバや認証サーバなどを湘南キャンパスに集約することで、教育研究サービスを湘南キャンパスへ順次統合し、情報の一元化やサービス品質の統一を実現する。代々木キャンパスでは、約160台の職員用業務端末をシンクライアント化し、端末管理工数の削減と情報流出の防止を実現する。

さらに、一斉起動時のレスポンスとCADなど負荷の高いアプリケーションの利用が求められる学生用教育端末には、ネットブート型シンクライアントシステム「Citrix Provisioning Server」を導入し、端末起動時間を約50%、端末運用担当者の業務負荷を約4分の1に削減した。

「Citrix Provisioning Server」のシステム構成

主にオフィスアプリケーションを利用する職員用業務端末には、仮想PC型シンクライアントシステム「VirtualPCCenter」を採用。仮想PCの利点を生かし、別のフロアや自宅からも自身のクライアント環境を利用して業務を継続可能とする。サーバの仮想化と合わせて最大消費電力を約3分の1に削減した。

「VirtualPCCenter」のシステム構成

図書館、学生生活支援室、キャリア支援課の端末には、約120台の画面転送型シンクライアントシステム「Citrix XenApp」を採用。利用者個別の環境は必要とせず、オフィスアプリケーションとインターネットのみを利用する学内共用端末として適した環境を提供する。

大学としては大規模となる約5万IDの統合を実現しており、今後学内のシステムをシングルサインオンで利用できる環境を整備する計画。