ヴイエムウェア 代表執行役社長 三木泰雄氏

ヴイエムウェアは1月25日、2012年の事業戦略に関するプレスセミナーを開催した。同セミナーでは、同社の代表執行役社長を務める三木泰雄氏が2011年の事業総括と2012年の事業戦略について説明を行った。

同氏はまず、2011年の市場の変化として「企業のグローバル化」「災害復旧への需要拡大」「節電対策へのニーズ」「エンドユーザーのデバイスの多様化」を挙げた。「2011年は、プライベートクラウドを利用するうえでガバナンスを強化しながら、グローバル化を進める企業が少なくなかった。仮想化によるサーバ統合は当然、節電に寄与するもの。最近は、従業員が所有するデバイスもビジネスに利用するというコンセプトも出てきており、従業員の端末に対する企業の考え方も変わってきている」と同氏。

さらに、2011年を「仮想化が主役となった一年」と表したうえで、「製品」「顧客」「パートナー」という3つの側面から2011年の事業総括が行われた。「仮想化が主役」には、「これまでは物理環境があっての仮想化だったが、2011年は仮想化を中心としたシステム構築が広がった」という意味があるという。

ヴイエムウェアの2011年の事業総括

「デスクトップ仮想化への動きが加速」については、「従来はセキュリティの強化を目的とした導入が多く、業種としては銀行がメインだった。2011年後半から、事業継続も踏まえた地方自治体や学校での導入が増えている」と説明。

2012年については、「"Your Cloud"元年にしたい」と同氏は語った。Your Cloudとは同社が推し進めるコンセプトで、個々の企業に応じた形でのクラウドを実現するというものだ。「2012年は、ユーザーの意識が効果的なハイブリッドクラウドへの導入に変化しつつある。現在のところ、プライベートクラウドとパブリッククラウドが融合した真のハイブリッドクラウドを実現している企業は少ないが、クラウドの技術が揃ってきたとともに、安全なパブリッククラウドも増えており、土壌が整いつつある」

続いて、同氏は2012年の注力エリアとして、「クラウドのデリバリ体制の強化」「エンドユーザーコンピューティングにおけるデバイス多様化への対応と利便性の向上」「パートナーエコシステム強化による新規顧客への導入支援」を挙げた。

同氏は、エンドユーザーコンピューティングについて、「1人のユーザーが複数のデバイスを使いこなす環境を実現するには、デスクトップの仮想化が第1ステップとなる。その先に、シングルサインオン、Horizon Mobileの利用が考えられる」と話した。

Horizon Mobileとは、従業員所有のAndroid端末に対し、プライバシーと制御を確保した状態で、企業のモバイル ワークスペースをプロビジョニング・管理・プロビジョニング解除する方法を提供するソリューションだ。コンセプトはすでに発表されているが、製品の公開は2012年初めに予定されている。

さらに、日本市場へのコミットメントについても説明が行われた。「日本では保守が導入のカギとなるので、顧客に対しては、テクニカルサポートを強化していく。また、中堅・中小企業における仮想化の導入が広がっているので部門を設置する。パートナーに対しては、デスクトップ仮想化製品である『 VMware View 』など、ソリューションに特化したパートナーを育成していくほか、西日本地域での教育プログラムを強化する」

ヴイエムウェアの2012年の日本市場に対するコミットメント