企業にとって、従業員の生産性の良し悪しは大きな問題だ。従業員の生産性が下がれば、自社の製品やサービスの品質が落ちるし、作業に時間がかかれば社内はもちろん、顧客や提携企業との関係に影響がでることもある。結果として、従業員の生産性は最終的には売上や収益に反映される。

したがって、管理職にとって、部下の生産性向上は大きなミッションというわけだ。しかし、生産性向上に意気込む前に、まずは彼らの気をそらしているものが何かを知ることも大切ではないだろうか? Open Forumの記事「オフィスの気を散らすものトップ6(原題:The 6 Biggest Office Distractions)」では、従業員の集中力を妨げる代表的な要因を6つ挙げている。

(1)むやみやたらと話しかけてくる人

どんな組織でも、必ずといっていいほどおしゃべりな人はいる。とにかく、ひっきりなしに話している人だ。自分から話題を作って、横の椅子を陣取って延々と話す人がいれば、集中できないのも無理はない。

このような人に対しては、「あなたが迷惑」、「あなたのせいで仕事ができない」といったことをストレートに伝えよう。

(2)宛先が「CC」のメール

電子メールの宛先が「CC」で送られてくると、なにかしら自分に知ってほしい情報があるのだと思って目を通してしまう。だが、その数が毎日数十通となると、「CCメール」にかなりの時間を費やしていることになる。

ここでは管理力がものをいう。例えば、メールソフトの振り分け設定機能を利用して、CCで来たメールは専用のフォルダに入るようにしてはどうだろう。こうすれば、作業中も気が散ることなく、CCメールは後でまとめて読めばよい。

(3)周囲から入ってくる雑音

さまざまな調査から、雑音(周囲のおしゃべりやテレビの音声)は人間の集中力を低下させることがわかっている。なかでも、人名が入っていると、どうしても意識がそちらに向いてしまうという。自分の名前はもちろんのこと、知っている人の名前が入っている場合はなおさらだ。

雑音対策の1つとして、ヘッドフォンをつけて音楽を聴くという手がある。ここで注意したいのは、歌ではなく、楽器の演奏のみのインストルメンタルミュージックにすること。歌だと歌詞(言葉)に反応してしまうからだ。記事では、「全従業員にヘッドフォンを配り、お互いの足を引きずらないようにしてはどうか」とも提案している。

(4)オフィスの温度

オフィスの温度も侮れない。暑すぎ、寒すぎは仕事に影響する。節電とのバランスをとりながら、全員が快適に感じる温度に保つようにしたい。オフィスの理想的な温度は「24~25度」という調査もあるようだ。

(5)疲れる椅子

オフィスワーカーなら、多くの時間を椅子に座って過ごすことになる。よって、椅子選びは重要だ。体を痛めないことは最低条件だが、すわり心地がよい椅子を調達したいものだ。

なお、座りっぱなしは生産性には逆効果であり、適度に立ったり動くことも必要だという。

(6)胃袋の問題

幸か不幸か、人間の集中力は胃袋には抗えない。空腹時には集中力が低下するので、オフィス内にスナックや飲料を用意しておくことも1つの手だ。

ここで挙げた6つだけではなく、それぞれのオフィス固有の生産性低下につながる原因はあるだろう。そろそろ年末に入ることだし、自分の仕事ぶりを振り返って、排除可能なマイナス要因を探してみるのもよいかもしれない。