ゲッティ イメージズ ジャパンは、専門学校を含む日本全国の学生を対象に、ゲッティ イメージズの写真素材を1点以上利用した「東日本大震災を風化させないための雑誌広告」を募集する「~I am Here.~ 第二回 ゲッティ イメージズ学生広告コンテスト」を開催した。本レポートでは、その最終審査会の様子を紹介する。

「~I am Here.~ 第二回 ゲッティ イメージズ学生広告コンテスト」

今年は、昨年の応募点数の約1.5倍となる255名のエントリー、197点の応募があり、最終審査会では、一次審査で選ばれた作品5点の制作者・グループがプレゼンテーションを行った。ゲッティ イメージズ ジャパンマーケティング部の土屋淑恵氏は、コンテスト趣旨説明にて「ビジュアルやコピーで震災を思い出させようというメッセージ、東北のものを消費してはどうだろうかという支援の提案など様々な表現がなされた作品が集まったが、どれも真剣なものばかりだった」と総評した。

ゲッティ イメージズ ジャパンマーケティング部 土屋淑恵氏

グランプリに選ばれたのは、早稲田大学 松村圭太氏の作品『「3.11」は歴史じゃない。』

グランプリ作品『「3.11」は歴史じゃない。』

早稲田大学 松村圭太氏

松村氏はプレゼンテーションにて、「3.11から3カ月、6カ月後には、多くのメディアで報道され、またボランティアツアーもたくさん組まれるなど、社会の関心を引いていた。しかし今はそれが少なくなってきており、震災を肌で感じられなくなっている、過去のものになっているという感覚が自分自身にあった。3.11を今の問題として受け止めてもらいたかった」と語った。教室の画像素材がゲッティ イメージズから用いられている。教室の画像を選んだのは、過去の歴史を学ぶ場所であること、また画像の明度を落としたのは、過去のものにしてはいけないというイメージを伝えるためである。

なお、グランプリに選ばれた松村圭太氏の作品『「3.11」は歴史じゃない。』は、今後クリエイティブ系雑誌で実際に使用されるとのこと。

バンタンデザイン研究所 長谷川和彦氏の作品『東北を食べよう。』

バンタンデザイン研究所 長谷川和彦氏の作品『東北を食べよう。』

惜しくもグランプリには選ばれなかったが、その他にも渾身の力作が集まった。バンタンデザイン研究所の長谷川和彦氏の作品は『東北を食べよう。』。復興支援を義務感からではなく、無理のない自然な形で促せないかという思いから、東北の名産を使った食事を提案する作品を制作。「食卓の中に、東北に関する会話を登場させたかった」とのこと。焼き魚の写真をゲッティ イメージズから選び、加工している。審査員を務めた博報堂DYメディアパートナーズの河野俊哉氏は講評で「この魚がどの県の、なんという名前の魚なのかまで制作者が語れるともっといいですね」とコメントしている。

桑沢デザイン研究所 藤田麻里子氏『光』

桑沢デザイン研究所 藤田麻里子氏『光』

藤田氏は「東北のシンボルであるこけしを、被災地の職人が懸命に作り続けている姿から、復興後の未来への希望を感じ取ってほしい」と語った。この写真自体がゲッティ イメージズから選ばれている。

総合学園ヒューマンアカデミー横浜校 <ぽてっと!>植竹胡桃氏、荒木海大氏の作品『あなたは被災地、被災者の方々のために何が出来ると思いますか?』

総合学園ヒューマンアカデミー横浜校 <ぽてっと!>植竹胡桃氏、荒木海大氏『あなたは被災地、被災者の方々のために何が出来ると思いますか?』

作品に登場するテスト用紙には、地震を経験していない人にもしっかりと伝えていく、覚えていてもらうというメッセージが込められており、また問題用紙の空欄は、この作品を見た人への問いかけを意味している。テスト用紙に登場する国旗は、ゲッティ イメージズの画像をトリミングして使用したもの。

総合学園ヒューマンアカデミー横浜校 <Your Smile>佐藤由佳氏、綿引真悟氏、藏元優氏、石川湧太氏、石垣尚太氏による作品『ぼくらにできるボランティア。』。

総合学園ヒューマンアカデミー横浜校 <Your Smile>佐藤由佳氏、綿引真悟氏、藏元優氏、石川湧太氏、石垣尚太氏『ぼくらにできるボランティア。』

制作過程において子供に絵を描いてもらうワークショップを行い、作品のみならずプロジェクトとして「次の世代にもこの震災を伝えていく」というメッセージを体現した。またこの写真には「被災地と同じ空の下にいる、雲に乗って思いを届ける」という意味が込められている。