米NVIDIAは8日(現地時間)、これまで「Kal-EL」の開発コード名で知られていた新世代SoC(System on Chip)「Tegra 3」を発表した。従来のTegra 2比で5倍の性能向上と、さらなる省電力化をうたっている。Tegra 2と同様に、スマートフォンやタブレット等での採用端末が登場してくるものと見られる。

Tegra 3チップのイメージ

高性能と省電力を特徴としたSoCの新世代製品。Tegra 2では最高1.2GHz動作でデュアルコアのARM Cortex-A9を内蔵していたが、Tegra 3は最高1.3GHz(シングルコア時1.4GHz)動作でクアッドコアのARM Cortex-A9を内蔵している。3Dグラフィクス用のGeForce GPUコアについても、Tegra 2で8基だったものが、12基に増やされた。アーキテクチャとしては同世代と見られるが、総合性能はTegra 2比で5倍といい、3Dグラフィックス性能に関しても3倍増としている。また同社によれば、IntelのPC向けCPUで、モバイル向けのCore 2 Duoと同等の処理性能が獲得できているとしている。

■Tegra 3の仕様詳細とTegra 2との比較
Tegra 2 Tegra 3
CPU デュアルコアCortex-A9 (1.2GHz、L2キャッシュ1MB) クアッドコアCortex-A9 (1.3GHz、L2キャッシュ1MB)
メモリ DDR2-760/LPDDR2-733 最大1GB DDR3-L 1500/LPDDR2-1066 最大2GB
GPU GeForce GPU 8コア GeForce GPU 12コア
3D立体視 非対応 対応
ビデオ(1080p)デコード機能 H.264、VC-1 AP、MPEG2、MPEG-4、DivX 4/5、XviD HT、H.263、Theora、VP8、WMV、Sorenson Spark、Real Video、VP6
ビデオ(1080p)エンコード機能 H.264、MPEG4、H.263、VP8
カメラ機能 1200万画素(セカンダリ500万画素) 3200万画素(セカンダリ500万画素)
HDMIバージョン 1.3 1.4a
SoCパッケージ 12x12 PoP、23x23 BGA 14x14 BGA、23x23 BGA
製造プロセス 40nm

一方で消費電力は最大61%低減しているという。性能を向上しながらも省電力化が進んでいる理由は、主にTegra 3から新たに実装された「バリアブル対称型マルチプロセッシング」(vSMP)技術によるもの。vSMPでは、低消費電力が要求される作業向けに特化した第5のコンパニオンCPUコアを内蔵している。このコンパニオンCPUが、メインのARM Coretex-A9と、利用状況の負荷に応じて排他動作することで、電力を大幅に削減することに成功しているという。

さらに4コアのARM Coretex-A9でも、コア数が増えたことで、マルチスレッド処理時に、Tegra 2比で同じ内容のプロセッシングをするのであれば、処理時間が短縮されたり、コアクロックを落としたりできるので、より消費電力を抑えることができるとされている。

なお、今回の発表にあわせ、ASUSTeK ComputerのCEO、Jerry Shen氏が、「Tegra 3はすごいの一言。ASUSは、NVIDIAとの緊密な協力を通じて究極のタブレット、Eee Pad Transformer Primeを完成しました」とコメントを寄せており、Tegra 3を搭載した「Eee Pad Transformer」次世代モデルの登場が確定したものとみられる。

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