64ビットシステムへの対応

Ubuntuにおいても64ビットへの対応が進められている。しかし、Ubuntu 11.04ではデスクトップ版に関しては32bit版を推奨していた。これはデスクトップアプリケーションの多くがまだ32ビット版を標準としており、64ビット版のユーザは新しくUbuntuにサポートされたアプリケーションがあったとしても、64ビットへの対応を待たなければならないという問題があった。

今回、リリースされる11.10では64ビットシステム上で動作する32ビットの互換性を向上させている。具体的にはBeta2で64ビットシステムで32ビット用のライブラリ及びアプリケーションパッケージをインストールできるよう対応が行われた。

例えば、これまでSkypeやFlashなどは32ビット互換ライブラリパッケージをインストールする必要があった。11.10では互換ライブラリを必要とせず、32ビット用のパッケージを直接インストールして使えるように変更された。なお、SkypeについてはSkypeの公式ページよりUbuntu版のパッケージが配布されているが、ソフトウェアセンター経由での取得及びインストールを推奨している。

この改善によって64ビット版を使用しているユーザも新しくサポートされたアプリケーションがでた時、32ビット版ユーザと同時に利用できるようになる。また、セキュリティアップデート時においても32ビット用のライブラリもしくはアプリケーションをアップデートすることで対応できるようになった。

独自色をだしつつ成熟した"夢見がちなオセロット"

リリース予定の11.10では、機能の追加というよりも導入された機能の改良が主に行われていることが、実際に触れてみてよくわかった。特にUnityの改良やクラシックなデスクトップ環境の完全な廃止など11.04で導入されたUnityに力をいれていることが見てとれる。Unityだけでなく標準のパッケージ管理をUbuntuソフトウェアセンターにしたことやディスプレイマネージャの変更などすべてGnomeというわけではない、という独自性もだしてきている。

64ビットへのさらなる対応も進められている。もともと64ビット版のUbuntuも使うことは可能だったが、32ビット版に比べてサポートが遅いというデメリットがあった。この問題が解消されたことで64ビット版でUbuntuを利用してみようと考えるユーザが増えるはずだ。近年の大容量のメモリを搭載したPCにおいてもストレスなく64ビット版Ubuntuを使えるようになったのは大きい。

11.10では引き続き、Mac OS X風のグローバルメニューとなっている。通常のメニューに戻したければ、/etc/X11/Xsession.d/81ubuntumenuproxyというファイルを作成し、"export UBUNTU_MENUPROXY=0"という行を追加して再起動すればウィンドウ内にメニューが表示されるようになる。

Unityをさらに成熟させた"夢見がちなオセロット"。Ubuntu FundationはOneiric Ocelotの正式リリースを(現地時間)10月13日としている。