キユーピーは、卵白を乳酸菌で発酵させた新素材「乳酸発酵卵白」を開発、その性質を調査した結果、「乳酸発酵卵白」は食品素材として利用しやすく、さらにヒトでの摂取試験により、血中コレステロール濃度を低減することを確認したと発表した。同成果の詳細は9月11日に開催される日本食品科学工学会第58回大会にて発表される。

卵白は脂肪分を含まない良質なたんぱく源として知られているが、特有のにおいがあることや、加熱により固まってしまうことなどから、飲料など活用しにくい食品分野があることから、同社では卵白を乳酸菌で発酵させることで、幅広い食品で活用しやすい新素材を調製、その性質を調べた。

卵白にグルコースなどの乳酸菌の栄養素を加え、加熱処理を行った後、乳酸菌を添加して、卵白を乳酸発酵させ、発酵後、殺菌、均質化することで「乳酸発酵卵白」を調製した。

乳酸発酵卵白のにおいの官能評価結果

「乳酸発酵卵白」は、卵白そのものの硫化水素臭はほとんど感じられず、乳酸発酵食品のさわやかな風味を呈し、また、90℃で40分間加熱した後も凝固せず、なめらかな状態を保っていた。

乳酸発酵卵白の熱凝固性

また、健常成人男性88名(血中総コレステロール濃度は204~259mg/dL)を対象に、「乳酸発酵卵白」の摂取による血中コレステロール濃度への影響を調査。具体的には卵白たんぱく質の量が4g、6g、8gとなるようにドリンクに「乳酸発酵卵白」を配合し、1日1回、8週間にわたって摂取し、摂取開始前、摂取開始4週後、摂取開始8週後の3回、血中コレステロール濃度を測定した。

初期値を0として変動を調べた結果、「乳酸発酵卵白」8g食の摂取により、血中総コレステロール濃度と血中LDLコレステロール濃度に有意な低下が認められたという。

血中総コレステロール濃度の変動

また、6g食摂取においても血中LDLコレステロール濃度の有意な低下が認められたという。

血中LDLコレステロール濃度の変動

これらの結果から、「乳酸発酵卵白」は幅広い食品に利用でき、かつ血中コレステロール濃度の低減が期待できる新しい素材であることが判明したと同社では説明しており、今後も卵の持つ可能性について、さらなる研究を続けていくとしている。