カスペルスキーは6日、Windows、Mac、そしてAndroid搭載スマートフォンをサポートした「マルチプラットフォーム」対応セキュリティソフト「カスペルスキー2012 マルチプラットフォームセキュリティ」を発表した。9月9日から発売する。

「カスペルスキー2012 マルチプラットフォームセキュリティ」。アンチウイルス、同Mac版、モバイルセキュリティ9をそれぞれ個別に購入することもできる

1パッケージ3ライセンス同梱の「1年/2年3台版」を購入することで、Windows、Mac、Android端末の3台で自由に組み合わせて利用できる。対応OSはWindows版がWindows XP/Vista/7、Mac版がMac OS X 10.5~10.7、Android版がAndroid 1.6~2.3となっている。また、Android 3.0系のタブレットに関しては今後リリース予定で、3台版を購入していれば無償で利用可能になるという。価格は1年3台版が7,140円など。

カスペルスキー2012は、ウイルス対策などの総合セキュリティ機能を提供するセキュリティソフトで、従来の定義ファイルベースのセキュリティ対策に加え、クラウド上のデータベースを組み合わせた「ハイブリッドプロテクション」技術を導入。従来のマルウェア発見、検証・解析、定義ファイル配信、ユーザーによる定義ファイルのダウンロードという保護機能というローカル技術に加えて、クラウドのデータベースを利用する「カスペルスキーセキュリティネットワーク(KSN)4.0」を搭載した。

従来のセキュリティ対策では、新種マルウェア発見から定義ファイルのリリースまでのタイムラグがあった

クラウドのデータベースを利用するKSN4.0によって、早期に対策を提供できる

KSN4.0では、同ソフト利用者から得られたファイル、アプリケーション、URL、スパムメール、ビヘイビア(振るまい)といった各データを収集。そのデータをもとにセキュリティチェックを行うことで、定義ファイルが配信されていない状況でも端末のセキュリティを確保してくれる。

世界中の同社ユーザーの情報からセキュリティ機能を提供するKSN。KSN4.0では新たにスパムや振るまい検知にも対応し、さらにセキュリティを強化した

これを利用することで、新種マルウェアが登場してほとんど同時に対策を提供できる

従来のKSN3.0に比べて、スパムやビヘイビアの保護機能が追加。特に侵入してきたファイルなどの動作(振るまい)から攻撃を検出することができるようになり、「定義ファイルで新種のマルウェアを検知できない場合でも、クラウド上で定義された動作パターンで感染を防止できる」(プロダクトマーケティング担当部長長門慶悟氏)という。

カスペルスキープロダクトマーケティング担当部長長門慶悟氏

同梱されるAndroid用アプリは、すでに今年4月に発表された「カスペルスキー モバイル セキュリティ 9」で、これまで今年12月31日まで無償で利用が可能だったが、無償版のダウンロードは9月末で終了。それまでにダウンロードした場合は従来通り12月31日まで利用可能だが、それ以降の利用には有償版への切り替えが必要になる。

1つのパッケージを購入することで、PC/MacだけでなくAndroidスマートフォンでもセキュリティソフトが使える点も特徴。新たにAndroidスマートフォンを購入した人や、Androidスマートフォン利用者で新たにPC・Macを購入した人が、低コストでセキュリティソフトを利用できるようになり、各プラットフォームでのシェアの拡大を狙っていく。同社COO兼マーケティング本部長の川合林太郎氏は、今回の新製品について「インターネットユーザーを包括的にカバーする必要がある」との狙いを示す。川合氏は新製品が、インターネット接続するあらゆるデバイスのセキュリティを確保して「ユーザーのデジタルライフ全体が守られるべき」とのコンセプトにもとづく第1弾の製品だと話す。

インターネット接続機能を搭載したデバイスはさまざまなものがあり、今回はWindows/Mad/Androidデバイスのセキュリティを1パッケージで提供する

カスペルスキーでは、これまでジャストシステムと協業してマーケティングや販売を行ってきたが、今後はマーケティング、販売、サポートなどを含めてすべて自社で提供していく。加賀山進社長は、「ユーザーに最高に満足してもらうことを目指す」考えを示し、「世界第2位の市場である日本」(加賀山社長)で、これまで以上にビジネス拡大を狙っていく。露Kaspersky Labsのユージン・カスペルスキーCEOも、「北米、南米、欧州、アジアでKasperskyは高いマーケットシェアとなっている。次は日本で大きなシェアを占めていきたい」と意気込んでいる。

カスペルスキーの加賀山進社長

カスペルスキーCOOの川合林太郎氏

販売価格は、店頭パッケージで1年3台版が7,140円、2年3台版が12,075円、1年1台ツインパックが7,140円。ダウンロード版がそれぞれ6,279円、11,025円、7,140円。Android版単体では、1年1台版がパッケージ版、ダウンロード版ともに2,625円となっている。

各パッケージの価格。限定5万本の乗り換え版を大々的にプッシュしていくという

露Kaspersky Labsのユージン・カスペルスキーCEO

マーケティングキャラクターとしてアイドルグループAKB48の峯岸みなみさんを起用。AKB48のほかのメンバーの顔を峯岸さんの顔に置き換えた画像などが流出したという「体裁」で"謝罪会見"が行われ、峯岸さんは「冗談で自分が作った」と謝罪。「セキュリティのことをもっと勉強したい」とコメント