テスト撮影では基本的に28mmレンズを装着し、状況に合わせてレンズ交換を行うという流れでしたが、3日目以降は15mmレンズを付けっぱなしにしてしまいました。なお、21mmレンズと28mmレンズのように焦点距離が近いレンズだけでなく、28mmと50mmであっても撮影の状況によりどちらで撮影したのか分からなくなってしまうことがあり、Mマウントレンズを使う上で大きな問題となってしまいます。もちろんレンズ側に電気的接点がなく、GXR MOUNT A12でも電気的な接続回路を設けていないのでレンズ情報をExifに記録できないのは仕方がありません。

ただし、GXR MOUNT A12は「マイセッティング」機能を使用してレンズ名、焦点距離、F値などの情報を登録することができます。レンズごとに必要な情報を登録したマイセッティング情報を作成することで、Exif情報もどきの設定を撮影データに書き込むことが可能になるわけです 。なお、GXR MOUNT A12はこれらのマイセッティング情報をSDカードに書き出すことができるので、レンズプロファイル情報などとしてユーザー間での共有という発想も生まれてきます。

なお、撮影に際して使用したGXR MOUNT A12ユニットは試作機であり、撮影は全て絞り優先のオートにて撮影を行っています。また、撮影した画像は全て800×600ピクセルにリサイズしています。

ULTRON 28mm F2.0を使用した作例。川沿いに植えられている桜の木の幹に絞り開放でピントを合わせてみました。実は直前まで蝉が止まっていたのですが、逃げられてしまい蝉が写り込んでいるカットは写せませんでした

ULTRON 28mm F2.0を使用した作例。警報機の音で電車が通過することを知り、慌てて撮影した一発勝負でしたが、ほぼ思った通りの構図に納まることができました

SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Asphericalを使用した作例。夏祭りの準備を行っている場面に遭遇し、関係者以外は私だけというラッキーな状況だったので、思い切って近寄ってみました。距離計に連動していない広角レンズでこれほど近寄り、安心してピントを合わせて撮影できるのはGXRでしかできない処理です

NOKTON 50mm F1.5 Asphericalを使用した作例。都会の神社は周りに民家が隣接していることもあり、無造作に正面から撮影すると開放で撮影しても気になってしまうモノが写り込んでしまうことが多いので、アングルとフレーミングには苦労します

SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Asphericalを使用した作例。稲荷神社の狐を撮影しようと思ったのですが、カメラを向けてフレーミングをしている間に無意識にギリギリの距離まで近づいていました。それほど迫力があり、そして後方も絵になる絶妙の距離感を見つけたからです

SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Asphericalを使用した作例。偶然通りかかった家の壁に空いている排水穴から出ている雑草が、あたかも壁に掛けた生け花のように感じたので思わずシャッターを切りました

SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Asphericalを使用した作例。綺麗な枝の木に遭遇するのは意外と難しいのですが、根気よく捜していると本当に綺麗な育ち方をしている木を見つけ出すことができます

NOKTON 50mm F1.5 Asphericalを使用した作例。多摩川台公園内にある元調布浄水場跡地ですが、ろ過池・沈殿池を実際に駆動していた当時のままの形で植物園・水生植物園に転用され、地下貯水場は水生植物園への貯水に利用される形で当時の姿を今に残しています

NOKTON 50mm F1.5 Asphericalを使用した作例。多摩川台公園内にある巨木。根本から枝分かれした力強さを50mmで切り取ることで強調してみました

SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Asphericalを使用した作例。この奥に久が原出世観音が祭られているのですが、地震の影響で閉鎖されたままとなっています。そこでらしくない入り口の階段と通路が印象的でしたので撮影してみました

テスト撮影では当初の予想を良い意味で裏切り15mmが大活躍しました。レンジファインダーカメラに装着した場合は距離計に連動していないこともあり、目測という環境ゆえにどうしても近接撮影から無意識に避けてしまう傾向にありました。しかし、GXRのシステムではしっかりとピント合わせを行う事が可能なので、思い切り近づいて撮影する感触を楽しむできます。

このようにGXR MOUNT A12は、ぜひともレンジファインダーカメラファンにチャレンジしてもらいたいアイテムといえるでしょう。小型の高性能サブカメラというよりはレンジファインダーカメラの良きパートナーカメラとしてMマウントレンズの新しい活躍の場を創り出してくれると確信しました。フォーカスアシスト機能だけをとっても撮影の幅が広がることは確かです。個人的には予定のなかった望遠系レンズがGXRシステムで活きてくることを感じ、唐突に欲しくなってきました。

そして今まで手を出してこなかったオールドレンズにも俄然興味が湧いてきました。正確な処理を約束されたGXRだからこそ真の意味でオールドレンズを楽しむことができると確信したのです。なお、GXR初のマウントユニットを試用したからこそ言える個人的な希望として、マイクロフォーサーズ用のマウントユニットといった新たな方向性にも挑戦してほしいとも思います。様々な型式のレンズを同じ環境で使い倒せるシステムは未だに存在していませんが、その可能性に一番近い位置にあるカメラがGXRシステムのような気がします。