前準備として、同梱されているレンズチェッカーにて調べた結果、所有している4本のレンズは全て問題なく装着できる事が分かりました。ただし、装着ができても電気的な接点を持たないMマウントレンズを使うためにはマニュアルフォーカスなど面倒な処理が必要となってきます。しかし、それらを払拭する様々な機能をGXR MOUNT A12は組み込んでいます。もっとも特徴的かつ便利なのがフォーカスアシスト機能です。

レンズチェッカーをULTRON 28mm F2.0に装着した状態。隙間が発生したり、レンズの後玉がチェッカーからはみ出したりしなければ、GXR Mount A12で利用可能となります。このチェッカーがあることでトラブルは未然に防ぐことができます。中古レンズを物色する場合に直接店頭でチェックできるようになるので大変便利です

GXR MOUNT A12はピント合わせの補助機能として輪郭強調とコントラスト強調というフォーカスアシスト機能を搭載しています。どちらもピントが合致した部分のエッジを強調してくれるので、マニュアルフォーカスであっても拡大表示することなくピント合わせを正確かつ快適に行うことができます。実際に使ってみてすぐにこの便利な機能に慣れてしまい、どうしてもこのカメラが欲しくなってしまいました。そして、他の愛用しているカメラにもこの機能が欲しいな……とまで思った次第です。

しかし、もっとも驚いたのが距離計に連動していないSUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical(【注】参照)を装着した時です。レンジファインダーでの距離計とは異なり、レンズを通した情報で処理を行っているため、しっかりとピントを合わせることが可能なのです。つまり、今回試すことはできませんでしたが、ニコンFマウントやライカRマウント、キヤノンFDマウントなどのMマウント対応の変換アダプターがあれば、該当するレンズを装着して使う場合でもピント調整を正確に行う事が可能なのです。

逆の言い方をすると、目測でしか使えないレンズであってもピント調整が可能であるというわけですね。ただし、絞り込みを行うと液晶モニターの表示が暗くなってしまいます。絞り優先での測光ですが意図的な絞り値にしたい場合は、予め絞り開放にてピントを調整してから適宜絞り値を変更する手順での撮影となります。そういった意味では開放F値の暗いレンズで室内などでピント合わせ行うのは難しいと考えていましたが、F8くらいでも大きな問題はありません。

【注】「SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical II」は距離計に連動しています。

液晶ビューファインダー「VF-2」とにSUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Asphericalに装着した状態。液晶ビューファインダーはトリミングも丁寧に行えますので、装着した方が撮影は圧倒的に楽になります。今回の撮影では結果として全てのシーンで液晶ビューファインダーの御世話になりました

なお、別売されている液晶ビューファインダー「VF-2」は、通常のレンズユニットを使う時よりも必要になる機会が多いかもしれません。特に、夏場の炎天下で液晶モニターを使って撮影しようと思うと、手動でピント合わせを行うのが辛いためです。ビューファインダーは小型で性能が極めて良いので、違和感なく様々な角度での撮影を可能にしてくれます。

直接レンズを通した情報でピントを合わせていますので、どちらかというとレンジファインダーカメラが苦手としている望遠レンズでの正確なピント合わせが可能となります。単焦点レンズはズームレンズと異なり設計に無理がないので優秀なレンズが多く、巷に溢れているそれらの集大成とでも言うべきMマウントレンズは宝の山と言えます。これらのレンズの性能を極限まで高めて利用できるのがこのGXR MOUNT A12用ユニットと言えるでしょう。焦点距離は35mmが50mm相当という公称値から1.42倍となりますので、代表的なレンズの実質的な焦点距離は次のようになります。

レンズ本来の焦点距離 GXR MOUNT A12で使う際の焦点距離
12mm 17mm
15mm 21mm
18mm 26mm
21mm 30mm
28mm 40mm
35mm 50mm
40mm 57mm
50mm 71mm
75mm 101mm
90mm 128mm
135mm 192mm