Googleは7月19日、アジア太平洋地域の記者を対象にしたモバイル戦略発表会「Google mobile Revolution」を東京都港区のグランド ハイアット 東京ホテルにて開催した。発表会には、同社Exective ChairmanのEric Schmidt氏も登壇。Androidを中心とした同社のモバイルビジネスの現状と今後について解説した。

1日55万台のAndroid端末がアクティベーション

米Google、Exective ChairmanのEric Schmidt氏

Keynoteに登壇したSchmidt氏は、ワールドワイドにおけるAndroid端末の普及状況を簡単に紹介した。

氏はまず、Android端末が現在、市場に410機種投入され、合計1億3500万台利用されていることを説明。7月14日には、1日にアクティベーションされた端末の数が55万台に到達したという。

また、Youtubeの1日のアクセス30億PVのうち2億PVがモバイルからであることや、楽天の商品購入者の2割がモバイルユーザーであることなどを紹介し、スマートフォンが一般ユーザーの生活に浸透してきていることを強調した。

こうした状況を受け、Googleが特に力を注いでいるのがNFC(Near Field Commnication)を使ったモバイル決済だ。氏は、「現金やクレジットカードの代わりに携帯電話機をかざすだけで支払いを済ませられる」とその利便性を語ったうえで、「すでにGPSを使って自分がどこにいるかを特定することができるが、今後は携帯電話機で自分がだれかについても特定できるようになる」と意義を説明。さらに、「すでに日本ではおサイフケータイが7000万台提供されているが、それと同じ技術が世界各国で利用できるようになる。この技術の可能性は非常に大きい」と続けた。

未来のスマートフォンは提案型の情報提供

端末の普及に併せて、スマートフォン向けアプリケーションやサービスの拡充も進んでいる。Schmidt氏は、そちらの状況についても補足した。

講演の中で氏は、日本人開発者が提供するファッションアイテム管理アプリ「MyCloset」や韓国のフィットネスアプリ「CardioTrainer」が100万ダウンロードを超えたことを紹介。また、試験提供ではあるものの、すでに米国ではオンライン音楽ストレージサービス「Google Music beta」をスタートしているほか、中国では、「QEI」というアプリを使って動画ストリーミングが盛んに利用されていることにも触れた。

こうしたサービス群とスマートフォンによって実現される世界観をSchmidt氏は、「あらゆる情報が指先にある」と表現。「交通情報をその場で調べられるし、時差に関係なく友人とコミュニケーションがとれる。渋谷や六本木を訪れた際には、周辺のオススメ店を紹介したり、その土地の歴史を表示したりできるし、特徴的なモニュメントを見つけたら、その写真を撮るだけで、それが何かがわかるようになる」といった具体例を示したうえで、「将来的にスマートフォンは、使い込むにつれて個人の趣味趣向が把握され、ユーザーがやりたくなることをタイムリーに提案してくれるようになるだろう」との見方も示した。

普及阻害要因は端末価格、将来的には70ドルも!?

このようにユーザーの生活に多くの革新をもたらすスマートフォンだが、氏によると、その普及を阻害する大きな要因となりうるのが端末の価格だという。

現在、アジアの多くの国々においてスマートフォンは、一般市民には手の届かないものになっている。先進国向け、もしくは高度な教育を受けた人に向けた端末という性質が強いが、Schmidt氏は「オープンなAndoridの登場によって安価なスマートフォンも登場するはず」と述べ、将来的に70ドルくらいの端末も提供されるのではないかとの見解を示した。

氏は「これにより、何十億もの人がスマートフォン端末を手にできるようになる」とし、「多くの人が、映画やバラエティを見て泣き笑い、有用な情報を見つけ、ビジネスを加速させ、ショッピングを楽しみ、大事な人の安否確認を行えるようになる。そうした環境構築の一翼を担えることを誇りに思う」と語り、引き続きアジア太平洋地域の発展に貢献していくことを強調した。