ユーザーの目を引くiPhone/iPadアプリを世に送り出すには企画段階から練りこむことが不可欠だ。それはなかなか難しい作業ではあるが、簡単なフォーマットを用いて曖昧なアイデアをスムーズに具現化させていけるサービスがある。アプリヤが提供する「APPLIYA STUDIO CONNECT」だ。ITジャーナリストの松村太郎氏に同サービスの魅力と企業がiPhone/iPadアプリを企画する際の考え方などについて伺った。

アプリは何のために出すべき?

──企業がアプリを企画するに当たって考えるべきことはありますか?

ITジャーナリスト松村太郎氏

多くの企業はこれまでアプリを通じて、いかに自分のビジネスを知ってもらうかを考えてきたのではないかと思います。けれど、個人的には、アプリでプロモーションを行おうとか、目新しさがあるから作ってみようというのではなく、事業戦略のなかにアプリを位置づけ、いかにしてユーザーとの継続的なコミュニケーションを作り上げていけるかが重要になると考えています。事業戦略の一環としてアプリを位置づけないと、お金と時間の無駄になってしまうのではないでしょうか。

それから、アプリの中には、単にウェブサイトのコンテンツをブラウザを通じて読み込むだけで、使い勝手そのものも変わりないものがあるんです。そうしたアプリを見ると、Safariのブックマーク機能を使うのと何の違いがあるのかわかりません。このあたりはそもそも、なぜアプリ化するのかを考えてみる必要があると思います。

アプリヤでは「APPLIYA STUDIO CONNECT」というサービスを提供していて、そのなかにアプリの企画作成に当たって、メールベースのコンサルティングサービス「メール・コンサルティング for Apps」があります。そのコンサルティングを私が担当していますが、自社のどのビジネスの戦略の一環としてアプリをつくろうと考えているのか、ある程度ヒアリングしたうえで、事業のなかに置かれたアプリのポジションとゴールとを考えるためのサポートが行えればと考えています。

「メール・コンサルティング for Apps」

iPhone/iPadアプリを作りあげていく段階での問題点とは?

──開発会社がオーダーサイドの要望を聞きだし開発に取り組むまでが大変だという話をよく聞きます。

iPhone/iPadアプリを作り上げていく過程で、オーダーサイドと開発者がデザインや機能の話にまで踏み込もうとすると、翻訳が必要になると思うんですね。オーダーサイドが何を望んでいるのかわからなければ、開発会社は手をつけることができません。

理想としては、オーダーサイドが、「このアプリのこの機能と、別のアプリの面白いUIを入れて、こういう雰囲気にしたい」といったように、開発者側に意図が伝わればいいんですが、なかなかそうもいきません。

現状では、開発会社のプロデューサーがオーダーサイドの要望を聞き出すところから始まっています。つまり、アプリがオーダーサイドにとって満足のいくものになるかどうかは、プロデューサーの力量にかかっているのです。

その点、「APPLIYA STUDIO CONNECT」にはPIF(Planning Input Format)があり、オーダーサイド、開発者の双方にメリットのあるフォーマットになっています。「ターゲット」「利用コンテンツ」などの空欄を埋めていくことで、オーダーサイドにとって、目的のアプリが明確になっていくと思いますし、開発会社側にとってもオーダーサイドが何を望むのか、要望を受けてそもそも開発に取り組めるのかどうか、誰を担当に充てればいいのかなどのメドもたちますから。PIFはオーダーサイドとアプリ開発会社との間での翻訳の役割を担う存在だと思うんですよね。

PIF(Planning Input Format)