セキュリティ以外のものでは、通信費削減を目指したソリューションがあった。モバイルセントレックスという言葉も一時期流行したが、スマートフォンを企業の内線に接続して使おうという試みも数社から提案されている。いずれも、社内通信網にスマートフォンをパケット通信でぶら下げ、外出先でも客先からの電話をスムーズに受信したり、出先から会社番号で発信したりを実現する。パケット定額サービスを利用すれば、通話料はかからないという仕組みだ。

「MOT/Phone」はiPhoneとAndroidの両方に対応する。PBXを専用のものと入れ替えることで、スマートフォンだけでなくPC上で電話アプリケーションを起動し、PCをビジネスフォンのように使うことも可能だ。

オフィス24「MOT/Phone」

「Smart Gate Adapter」は、既存のPBXをリプレースせずにアダプタを追加するだけで、スマートフォンを内線子機として利用できるようになるのが特徴だ。企業内の通信環境を変えずに対応できるのが便利。Android端末には近く対応を予定している。

ネイクス「Smart Gate Adapter」

決済にスマートフォンを活用

スマートフォンやタブレットをPOS端末として使おうというソリューションが「Salasee POSシリーズ」の「Tablet POS System」と「Mobile POS System」だ。バーコードを読み込むためのレーザースキャナやレシートプリンタを接続し、簡易なPOS端末として利用可能にする。売上・在庫・棚卸・仕入れ管理のデータはクラウド型サービスで提供されるため、設備投資は最小限で済むのが特徴だ。

アスタリスク「Salasee POSシリーズ Tablet POS System」

また、クレジットカード決済もスマートフォンで可能になっている。「PitPay」と「PAYGATE」は両方とも、Bluetoothのカードリーダーを接続し、カードを読み取って決済データを暗号化通信で送受信する。専用の決済端末ではなくiPhoneやAndroidの一般端末で対応できるため、導入が容易なのが特徴だ。

アスタリスク「PitPay

ロイヤルゲート「PAYGATE」

既存技術のスマートフォン対応や新技術への取り組みも発表

職業ドライバーには運転開始前の飲酒検査が義務づけられているが、これに携帯電話が活用されている。データの送信や顔写真の撮影などに携帯電話の機能を利用しているのだが、これがスマートフォンでもできるようになりそうだ。携帯電話を活用したアルコール測定器を提供する東海電子が、スマートフォン対応版を参考出展していた。

東海電子「ALC Mobile Smartphone」

また、研究段階ではあるが独自開発した機器を接続してスマートフォンで脳波を測定する技術も紹介されていた。現状では15秒ごとに測定したデータを分析して脳の集中・リラックス状態を判定することで、居眠り状態を検知しアラームを鳴らすというアプリが作られている。リアルタイムに動作するものではないため、運転者の居眠り防止などにはまだ活用が難しいが、研究の進展とアイデア次第で活用幅は広そうだ。

エンベデッドソリューション「脳波分析による居眠り防止システム」