ASP版を使うことでさらなるスピードアップと運用性の向上を

フルブライトの最近の制作事例でいうと、アスリーエイチのカラコン・ウィッグ等の通販サイト「GEENIE」がある。実際にこういうECサイトを構築する場合、フルブライトではどういう体制で制作を行っているのか、また現場ではどういう作業が行われているのかについても興味があるところだ。

フルブライトが開発した通販サイト「GEENIE」

実はフルブライトでは、これまでオープンソースの「EC-CUBE」を使った案件を手がけてきたが、2010年に新たに発表されたASP版の「EC-CUBE ASP」を使うことで、さらに顧客に提案する選択肢が増えたのだという。ASP版では、オープンソースに比べれば自由度は少なくなるものの、初めてECサイトを活用しようという企業などにとっては、運営のしやすさやメンテナンスの容易さなどで大きなメリットがある。

「たとえば今回、制作をお手伝いした『GEEENIE』さんの事例ですと、お話をいただいてから構築完了まで、2カ月くらいのタイム感で制作をしています。実際の制作時間だけでいえば、2週間程度で完成しています」とのこと。特にフルブライトの場合、アパレル関係の顧客が多いという特性上、たとえば「秋冬用の新サイトを構築したい」というリクエストを受けてから、1カ月後に稼働しなければいけない場合もある。そういった時も、「EC-CUBE ASP」などを使うことで、迅速に対応できるという。元々開発は迅速に行っていたそうだが、より短期間で開発できるようになり、営業上の訴求点にもなっている。

また、「EC-CUBE」あるいは「EC-CUBE ASP」での制作経験を重ねることで、蓄積されるナレッジも重要だという。実際、2回目移行に同じような開発が必要になった場合、大きな時間・コスト削減が見込まれる。これにより、クライアントへ提案を行う場合も、「ここでコストダウンできるので、こういう機能改善なども予算内で可能になる」といったこともできるのだ。

ECサイト構築では、最初に作るだけではなく、メンテナンスや大きなデザイン変更なども含めて、クライアントと長期間の付き合いになることが多い。クライアントの信頼を得るためにも、柔軟な開発体制とコスト感は大きな武器になるということだ。最近では開発を依頼する側もいろいろと調べていて、最初から「EC-CUBEを使って御社のデザインで」という指名リクエストも増えているとのこと。Webデザインとシステム開発の両方ができる会社として認知され、受注数のアップにも貢献しているという。

スムースな制作フロー実現にも寄与

Webサイト開発の流れを語るフルブライトのスタッフ。画像奥から、代表取締役 河野貴伸氏、SIPS事業部 ディレクター 粕谷誠子氏、SIPS事業部 デザイナーの佐藤朝美氏

今回のWebサイト開発では、実際に制作チームとしては2名が開発を担当したそうだ。「デザイン案を固める段階ではPhotoShopを使い、ワイヤフレームというラフデザインを作っていきます。もしお客さまの商材の写真などがあれば、それも頂いてデザインを作り込んでいくことになります」と語るのは 同社 SIPS事業部 デザイナーの佐藤朝美氏(以下、佐藤氏)だ。ある程度デザインが固まってきたら、同社 SIPS事業部 ディレクター 粕谷誠子氏(以下、粕谷氏)に引き継ぎ、「ボタン等のデザインなどを行いながらコーディングを行い、必要であればJavaScriptなども組み込んで、EC-CUBE ASPに落とし込むことになります」という。

今回は顧客からいろいろなリクエストがあり、「なるべくECサイトっぽくないデザインで」などというものもあったそうだ。デザイナーが中心にいるフルブライトならではというところだが、このあたりに柔軟に対応できるのも「EC-CUBE ASP」の良さだという。「ASP版の範囲を超えるリクエストもありましたが、どこまでできるのか調べながら、チームで問題解決にあたりました」と粕谷氏は開発作業を振り返った。

また制作途中でもクライアントに商品登録などの作業に関わってもらうことで、サイト完成後の実運営にスムースに移行できるように留意しているという。

「制作中にバックエンドを意識することはあまりないのですが、EC-CUBE ASPはWindowsサーバーで稼働するというのもポイントです」と河野氏。大規模な商材管理などは、マイクロソフト社のAccessで管理している企業も多く、親和性の良いシステムを作りたいというリクエストにも応えやすいという。このため、「EC-CUBE ASPを使ってスピーディにサイトを立ち上げ、軌道にのったらオープンソース版を視野に入れたい」という案件が増えているという。

ロックオン 営業ユニット池田紗弥佳氏によると、「EC-CUBE ASPをリリースしてからもうすぐ1年になりますが、担当者を増員するなど態勢の充実を図っています」とのことだ。

デザイン先行でECサイト構築ができるということは、アパレル・化粧品・食品業界などはもちろんのこと、個人事業主などにとっても大きなメリットがある。「弊社では今後も様々な案件に対応するために、いろいろなツールを利用してデザイン性に優れたサイト構築などの業務を進めていこうと考えています」と河野氏は語る。デザイナーが中心になっている会社だけに、これまでのECサイトのイメージを覆すような、どんな新しいものを見せてくれるのかが楽しみだ。

EC-CUBE ASPサービスでネットショップ開業体験キャンペーン

EC-CUBE ASPサービスを活用して、低価格で手軽に自社のネットショップを開業し、ビジネスチャンスを拡大したいという企業にとって、お得なこのキャンペーンが実施されている。日本マイクロソフトとロックオンの「EC-CUBE ASPサービスでネットショップ開業体験キャンペーン」がそれだ。同キャンペーンの募集期間は2011年6月30日まで。同キャンペーンでは、無料期間が通常2週間のところ、1カ月間無料で利用可能。さらに、期間中に本申し込みをすると、初期費用2万円のところ、無料登録可能となっている。応募資格は、ECサイト構築を検討中で、ロックオンが定義する利用規約の内容に同意可能な企業となっている。「EC-CUBE ASPサービスでネットショップ開業体験キャンペーン」の詳細はこちらから。

撮影:石井健