――カーボンファイバーバンドとグラスファイバーバンドでは強度に違いがありますか。

時計事業部外装設計部第二外装設計室室長 田中慎一氏。「G-SHOCKだからこそ、ユーザーが求めているものがあります」

田中「強度としてはあまり変わりません。

長年利用した状態を想定し、通常より過酷な環境においた加速試験を行っており、従来の樹脂バンドでは樹脂が劣化して破断しやすくなるところを、より強度が増す結果となりました。

バンドを機械で上下に引っ張る耐久テストをしたとき、経年劣化した樹脂だけの場合と比べて、どちらも4倍程度の強さがあることが分かっています」

斉藤「鉄筋コンクリートのようなもので、中に(グラスファイバーによる)芯材があり、ウレタン樹脂と一体化しています。ウレタン樹脂が切れ始めても芯材がストッパーになりますので、たとえば海でいきなりバンドが切れて時計を紛失するといったことが少なくなります」

45度の角度で編みこまれているグラスファイバーの繊維

田中「第1弾のカーボンファイバーと同様、グラスファイバーも素材自体は伸び縮みしにくいですが、繊維を45度の角度で編み込んでいくことで伸縮するようにしています。これは芯材が伸びないとウレタンと剥離してしまうからで、ミズノテクニクスと特許を取得しています」

――では、どちらも耐久性に違いはないということですね。

斉藤「ただ素材単体でいうと、恐らくカーボンファイバーの方が強度が高いと思います。繊維が細いので同じ強度にしようとするとカーボンファイバーの方が繊維が少なくてすみます。

GW-S5600では遊環部分にもカーボンファイバーを用いていたが、GD-200では強度に優れたバリスティックナイロンを採用している

しかし素材のしなやかさではグラスファイバーの方が有利で、今回はカーボンファイバーバンドでは少し固めというユーザーの意見もあったため、ウレタン樹脂も柔らかめにして、バンド自体のしなやかさを出しています」……これからのG-SHOCK