Nokia CEOのStephen Elop氏とMicrosoft CEOのSteve Ballmer氏

フィンランドNokiaは2月11日(英国時間)、米Microsoftと戦略的提携を締結し、MicrosoftのモバイルOS「Windows Phone」をメインのスマートフォンプラットフォームとして採用する計画を明らかにした。2社の開発者はすでに作業を進めており、数週間から数カ月以内に最初のNokia製Windows Phoneについて詳細を発表できる見通しだという。

携帯電話最大手のNokiaはこのところシェア減少が止まらず、ハイエンドではiPhoneを提供する米Appleや米GoogleのAndroid OSを採用する韓国Samsungらと、エントリーでは中国メーカーの安価な携帯電話と、厳しい競争環境にある。そんな中、建て直しを任されたNokia CEOのElop氏が選んだ戦略は、Microsoftとの提携だった。

NokiaのWebサイトのトップページでもMicrosoftとの提携がアナウンスされている

Nokiaはこれまで、米Motorolaらと共同出資した「Symbian」、昨年米Intelと発表した「MeeGo」(NokiaのMaemoとIntelのMoblinをマージさせたオープンソースのモバイルOS)など自社開発といえるOS戦略をとってきたが、サードパーティのOSを採用するのは初めてとなる。Nokiaがこの日発表した骨子は、以下の通りだ。

  • 主要スマートフォン戦略としてWindows Phoneを採用する
  • マーケティング、開発ロードマップなどでの取り組みをMicrosoftと共同で進める
  • Nokia製Windows Phoneの開発ツールは、Microsoftのツール技術を利用する
  • Nokia端末での検索サービスは「Bing」を利用する
  • Microsoftの地図サービスは「Nokia Maps」を土台とする

Elop氏とMicrosoft CEOのSteve Ballmer氏はロンドンで開催されたプレス発表会で、それぞれスピーチを行った。Elop氏は「ゲームは変わった」と述べ、現在の戦いを変えるためにMicrosoftと手を組んだと説明した。

Elop氏は2010年9月にMicrosoftから引き抜かれてNokiaのCEOに就任。今回の決断に至るまでを「複雑なジャーニーだった」と振り返る。Nokiaは2010年秋にSymbian Foundationの方針変更を発表、Symbianを自社下に入れることを明らかにした。これにより、同年2月にIntelと共同発表したMeeGoをハイエンドに、Symbianはエントリーにという方向を打ち出していた。

しかし今回、Windows Phoneの採用を発表。Elop氏はWindows Phoneを「主要なスマートフォン戦略」に採用するまで、数カ月かけていくつかの選択肢を検討したと説明しており、Samsung、Sony Ericssonなど多数のメーカーが採用するAndroidについては、差別化が難しく、コモディティ化のリスクなどの理由から選択しなかったとしている。

今回の提携についてBallmer氏は、Nokiaとの提携は独占ではないと述べており、Windows Phoneは引き続き他のメーカーも採用できるとしている。またElop氏は、最優先課題である北米市場でWindows Phoneは有利になるという読みも明かした。

NokiaとMicrosoftはともにお互いのブランドを活用でき、Microsoftは世界最大手のメーカーをリストに加えることになる。Nokiaの製造・流通チャネルを利用できるため、さまざまな価格帯、さまざまなユーザーセグメント、さまざまな地理的市場でWindows Phoneを展開できると両CEOは述べている。

2011年に登場が予定されていたMeeGoについては、予定通りに発表するという。だが、実験的な位置づけで、市場の反応を見て改めて計画を決めるとしている。Symbianについては、ローエンドで活用し、Windows Phoneへの移行期間中に1億5000万台程度を販売できるのではと予想している。なお、Windows Phone端末の開発を進めているのはSymbianの部隊であるという。

Nokiaは同日、組織再編も発表しており、携帯電話はスマートフォンの「Smart Deivces」、それ以外の携帯電話を専門とする「Mobile Phones」の2本柱とするようだ。なお今回のMicrosoftとの提携にタブレットは含まれないようで、タブレットについては「オプションを残している」としている。このほか、オープンソースのユーザーインターフェイス開発技術「Qt」はSymbian向け開発フレームワークとして展開していく計画を明らかにしている。