東京駅でしか買えない「老舗の味 東京弁当」

ここからは定番の弁当を紹介したい。まずは、今回紹介する弁当の中で最も高価な「老舗の味 東京弁当」を取り上げる。この弁当はその名のとおり、東京駅でしか販売されてない。こちらも限定モノ好きのココロをくすぐる一品だ。

東京の老舗のおかずが満載と、東京限定というキャッチコピーに恥じない内容となっている。以下が、老舗によるおかずだ。

  • 浅草・今半の「牛肉のたけのこ」
  • 人形町・魚久の「キングサーモンの粕漬け」
  • 築地・すし玉青木の「玉子焼」
  • 日本ばし大増の「野菜のうま煮」

価格は1,600円と弁当にしては張るが、老舗の味を一度に味わえると思えばそれほど高いものではないように思う。

写真を見てもらえばわかるが、玉子焼には「つきじ青木」という焼印が入っている。これまで焼印が入った玉子焼を食べたことがなかったので驚いた。どれも美味しかったのだが、個人的には普段はあまり口にしない粕漬けが印象的だった。酒粕の風味がまろやかで、身もキングサーモンを使っているためかもっちりしていたからだ。

先に「煮物にノウハウが隠されている」と書いたが、ご飯と同様に、煮物も弁当のおかずとして最適な状態で提供されている。素人が煮物を弁当に入れると、どうしても煮汁が他のおかずに染みてしまう。かといって、汁を完全に除いてしまうと美味しくなくなってしまうだろう。

しかし、日本レストランエンタプライズでは長年に蓄積してきたノウハウにより煮汁がなくてもしっかりと味が染み込むように作っている。こちらの弁当も製造されてからしばらくたって食べたのだが、まったく煮汁が出ていないのに、味はしっかりと付いていた。ちょっと濃い目の味付けがまた弁当に合っている。

東京駅限定販売の「老舗の味 東京弁当」。今半に魚久と老舗の味が満載だ

一見、普通の弁当のように見えるが、一品一品が丁寧に作りこまれている

籠の器がかわいらしい「幸福べんとう」

東京弁当の"ミニ版"とも言えなくはないのが「幸福べんとう」だ。人形町・魚久の「銀鱈粕漬け」、築地・すし玉青木の「玉子焼」と、老舗の味が2品入っている。こちらもお値段1,300円と"1,000円超え"のため、ちゃんとおしながきがついている。

再利用可能な籠(食物は紙箱に入っているので籠は汚れない)に俵型のご飯と、幸福べんとうは女性を意識しているように感じられる。米は冬の彩や東京弁当と同様に秋田県産有機認証米「あきたこまち」なのだが、俵型になるだけで食べやすく感じる。

こちらの粕漬けも魚久のものとあって、東京弁当と同様に銀鱈の身がふっくらとしていて美味しかった。鶏肉も冷めたらパサパサとして固くなりがちだが、プリっとした食感が残っていてジューシーだった。

最後に注目していただきたいのがデザートだ。普通はミカンなど果物が入っているところ、何と大福が入っている。ちゃんとした甘いモノが食べられるのは、女性としては嬉しい。

老舗の味も楽しめる「幸福べんとう」。籠もそうだが、名前もかわいらしい

玉子焼と銀鱈粕漬けは老舗のものだ。デザートの大福も嬉しい

東京名物を弁当に詰め込んだ「深川めし」

最後に紹介するのは、今回唯一1,000円未満の弁当「深川めし」だ(お値段850円也)。お安いからと侮るなかれ。平均販売数は1日500個以上と、正に東京駅を代表するお弁当なのだ。

あさりご飯に穴子の蒲焼と、東京名物を満喫できるのがこの弁当である。門前仲町や清澄といった"深川"地域に行けば深川めしを食べさせる店は多いが、名物といっても、東京のどこでも簡単に食べられるわけではない。

メインのあさり飯はあさりのほかゴボウなども混ぜ込んであり、飽きずに食べられる。ご飯の上に乗っている穴子の蒲焼も身が厚く食べごたえがある。

東京名物が味わえる「深川めし」

あさり飯の上に穴子の蒲焼とハゼの甘露煮が乗っている

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以上、5つの弁当を紹介したが、「ミニ懐石風」「老舗の味」など、どれもこれまでの「駅弁」に対するイメージを覆すものばかりだった。駅弁は進化しているらしい。今後どんな弁当が登場するのか、ますます楽しみだ。