iPhone / iPad用の楽器アプリや音楽制作アプリが多数リリースされるにつれ、最近ではiOSデバイスを音楽ガジェットとして捉え、活用するクリエイターが増えてきている。また、先日リリースされたばかりiOS4.2では、システムとしてMIDIの入出力に対応する「CoreMIDI」とよばれるAPIもサポートされ注目を集めている。
そこで、今回はiPhone/iPod touchと組み合わせることで、本格的なシンセサイザーに変えることができるAKAI ProfessionalのiPhone / iPod touch用ドック搭載の25鍵キーボード・コントローラ「SYNTHSTATION25」を、実際に様々なアプリと組み合わせながら、その機能と魅力をお伝えしていこう。
SYNTHSTATION25とiPhoneのセットアップは非常に簡単だ。本体の中央部に設けられたドックコネクタおよび設置スペースに、iPhoneをハメ込むだけ。ただし、この際にカバーなどを装着していると上手くハマらないことがあるので注意が必要だ。また、iPhoneを固定するためのパーツは、個別に本体からとりはずし可能なので、どうしてもカバーを外すのが面倒というユーザーは、オンユアリスクでカバー装着のままの設置も行える。ちなみに、iPhone 4/iPhone 3GSともに問題なく取り付けできた。
25鍵のミニキーボードを備えた本体は、非常にコンパクトで軽量。iPhone固定用のパーツは、取出しやすいように若干の傾斜がついており工夫されている。動作には、USBバスパワー、ACアダプタ(別売)、または電池駆動(単4乾電池×4・付属)を利用できる |
本製品には、iPhone用のドックをはじめ、ミニ鍵盤25鍵(ベロシティ・センシティブ)とピッチベンド/モジュレーションホイール、RCAステレオ出力端子とヘッドフォン端子などが備えられており、同社より発売中のiPhone/iPod touch用シンセサイザーアプリ「SynthStation」(別売)と共に動作が可能となっている。さらに、USB端子(ミニBタイプ)も搭載されているので、本製品を汎用のUSB-MIDIコントローラとして利用したり、外部MIDI音源として選択するなどのフレキシブルな活用方法が用意されている。ちなみに、USB-MIDIコントローラとして利用するだけなら、iPhoneがドックに設置されている必要はない。
実際に、本製品にiPhoneを設置した状態で、SynthStationアプリを起動すると、特に難しい設定などは必要なく、そのままキーボードからの演奏や音色を切替えられる。また、ソングモードでもキーボード演奏は可能だが、残念ながらリアルタイムレコーディングは行えず、ステップ入力(GRID画面)のみのようだ。また、コンピュータに本製品をUSB接続した場合には、シーケンサーなどのMIDI出力先として本製品が選択可能になるので、それを出力先に設定すればOK。大きな発音の遅れなどもなく利用することができた。ただし、鳴らせるパートは現在アプリ側で選択中のパートのみなってしまうので、ぜひマルチパート音源対応にも期待したいところ。
本製品を導入することで、3パートのバーチャル・アナログシンセ、ドラムキット、エフェクタなどを備えたシンセアプリ「SynthStation」を、さらにアクティブに活用可能。キーボードの演奏時のアプリ画面表示対応など、アプリ側のアップデートでぜひ対応してほしい |
本製品に対応するのは、純正アプリであるSynthStationだけではない。随時対応アプリも拡大してきており、徐々にその数を増しているのはユーザーにとって嬉しいかぎり。今回は、非常に完成度が高くクリエイターからの評価も高いBlip InteractiveのiPhone用の音楽制作アプリ「NanoStudio」(v1.12)、およびコンピュータ用として数多くのユニークなプラグインを開発しているVirSyn Software SynthesizerのiPhone用ボコーダアプリ「iVoxel」(v1.3.2)でも、本製品でのその動作を確認することができた。
両アプリともに、SynthStation同様に設定などは必要なく、本製品にiPhoneを設置した状態でアプリを立ち上げるだけで利用が可能。キーボードからドラムサンプルなどを演奏したり、ボコーダーサウンドをプレイできるため、iPhone画面から演奏するのとはまったく違い、ハードウェア感覚でプレイできる点はやはり大きなメリットといえるだろう。ちなみに、発音の反応速度なども明らかなレスポンスの遅れなどもなく、差異は感じられなかった。また、NanoStudioでは、アプリ自体が高機能なことに加え、鍵盤の演奏やピッチベンドに合わせて画面内の表示が反応し、シーケンサへのリアルタイムレコーディングが行えるなど細かな部分でも純正アプリをも超える操作感を味わうことができ、本製品との組み合わせも特に快適に感じられた。