新年の風物詩のひとつ、百人一首。このところマンガ「ちはやふる」の影響もあって注目度が高まっており、iPhoneアプリもいくつかリリースされている。それぞれどんな特徴があるのか、「ミク百人一首」「iCarta」「IT百人一首」「小倉百人一首(無料版)」の4本を試してみた。

ミク百人一首

基本的には、初音ミクが百人一首を読み上げてくれるというアプリだ。「かき混ぜ」により、順番をばらばらに入れ替えて読み上げさせることができ、人工音声にしては読み上げのリズム・抑揚もそれなりにそれらしくなっているので、実際のカルタとりの読み手がわりに使うこともできなくはない。

ただ、このアプリ単体でかるたを遊んだりすることはできないので、使うシーンは限られるだろう。また、読み上げがそれなりになっているとはいえ、やはり人工的なものではあるので、本気でかるたに取り組んでいる人には不満があろう。

アプリをスタートすると、百人一首の歌がひとつひとつ表示される。「読み開始」をクリックすると、初音ミクの声でそれぞれの歌が読み上げられる。

左右のスライド操作で、次の歌・前の歌への移動が可能

右下の「言語」をタップすると、歌がローマ字で表示される

とりあえずは、初音ミクの声から百人一首に入ろうという人向けのアプリだろう。ただ、先にも述べたとおり、人工音声にしてはがんばっており、それほど機械的すぎるというわけでもない。なかなかバカにした物ではないという感じだ。

iCarta

シンプルな構成とはうらはらに、意外と競技かるたの雰囲気を再現しているのではないか? と思わせるアプリだ。メインとなるのは「遊ぶ」モードのゲーム。5枚の取り札が配られ、読み札に合うものをタップすると取りとなる。速く取るほど高い点数が得られ、点数のランキングの上位を目指すというのが基本的な遊び方となる。たんに並べられた札から読まれた札に合うものを速くタップするというだけでなく、あらかじめ並べられた札の決まり字を把握してすばやく反応するのが必要なので、感覚として実際の競技かるたに非常に近いものがある。

このほかに「覚える」モードがあり、それぞれの歌を決まり字とともに表示できる。ここでは「あいうえお順」「番号順」に加え、「あなおわ順」という1字目の表示もできるのがポイント。これは、上の句1字目が共通する札の多い順に札を表示するという表示順。たとえば、上の句1文字目が「あ」である札は16文字でいちばん多いため、先頭に表示される。逆に、上の句1文字目が「む」「す」「め」「ふ」「さ」「ほ」「せ」である札はそれぞれ1枚でいちばん少ないので、表示順が最後になる。これは競技かるたの覚え方にそった並び順なのだ。

5枚の場札から、その上に表示される上の句にあった札をすばやくタップして取る。速くタップするほど高得点で、お手つきやフライングは減点。5枚取っての得点ランキングを競うゲームだ

配られた札の決まり字も確認可能。この決まり字表示は、場札の取りによって変化する

「覚える」モードでは、「あなおわ順」の表示が可能。このモードでは、1文字目が共通の札が多い順に札を表示する

このアプリの弱点は、すべて画面表示だけでゲームが進行し、音声の要素が含まれないこと。「読み」とはいっても、それは画面に文字として表示されるだけなので、必然的に画面上では読みの文字列とタップするべき取り札の間を行き来することになる。実際のかるたにおいては視線は取り札に集中しているわけで、この点が大きな相違点となる。ただそれを除けば、最初に述べたとおりかなり競技かるたの雰囲気をうまく再現できているアプリといえる。

IT百人一首

今回紹介する4本の中でもっとも多機能なアプリがこの「IT百人一首」だ。競技や練習のほか、鑑賞・読み上げ、さらには坊主めくりで遊ぶことも可能となっている。

「競技」モードは、並べられた9枚の取り札から、音声で読み上げられた札に対応するものをすばやくタッチして取り、規定の札を取る所要時間を競う。1枚とるごとに開いた場所に新しい札が補充されるので、つねに9枚の札が場には並んでいることになる。

音声で読み上げられるのでその点は実際のかるたに近いのだが、残念な点がひとつ。ゲームスタート時に場の札を記憶するための待ち時間の長さと、札を取って新しく場の札が補充されたときに次の札の読み上げに進むまでの待ち時間の長さが共通になっているのだが、これは実際のかるたのリズムにはあまり合っていないのではないかと思われる。この点はぜひ、個別に設定できるようにしていただきたい。というより、1枚取ったら新たに1枚補充される……というのが実際のかるたにはあまりあわないようにも思えるので、補充なしで最初に場に並べられた9枚を取るというモードもあればよいのに、と思う。

9枚の場札から、読み上げられた上の句に対応するものをタップして取る。上の句は、画面上にもテキストで表示される

坊主めくりでも遊べる。複数プレイヤーで遊ぶこともできる

競技の設定は、記憶時間や場札の枚数、読み上げ性別の音声など柔軟に指定可能

少し注文をつけてしまったが、それもこのアプリが機能豊富で期待を持たせるため。現状でも十分に多様な遊び方ができるアプリとなっている。

小倉百人一首(無料版)

このアプリは、ゲーム性はとくになく、百首それぞれの解説や文法を確認できる鑑賞用のアプリ。それぞれの歌の読み上げも可能だが、ランダムに順次読み上げていくようなことはできないので、かるたを遊ぶ際の読み上げに使うことはできない。

その一方で、鑑賞や学習のための機能は、無料版ながらかなり充実している。一覧の表示順で、小倉百人一首での掲載順や読み順・決まり字順だけでなく、季節や「離別」「恋」といった主題ごと、それぞれの歌が収録されている歌集ごとの表示ができる。

一覧から歌を選択すると、このように絵札の画像が表示される。上の「解説」「修辞」をタップして内容を表示したり、下の再生ボタンをタップして音声での読み上げを行ったりする

「解説」を表示すると、その歌の歌意のほか、その歌の背景や作者についての情報、関連する写真などが表示される

「修辞」を表示したところ。文法的な解説が表示されるので、古文学習のテキストとしても利用できる

ひとつ気になるのは、iPhoneのスピーカーをオフにした状態でも、読み上げを行うとスピーカーから音声が出てしまうこと。電車内などでうっかり再生してしまったりしないように注意してほしい。

なおこのソフトには、有料版として「浜島書店 小倉百人一首」というソフトが用意されている。そちらでは、コンピュータとの対戦やトレーニング、かるた遊び用の自動読み上げといった機能が用意されており、さらに幅広く活用できる。


以上、4本の百人一首アプリをご紹介したが、このほかにも百人一首関連のアプリは多数あり、それぞれにさまざまな特徴をそなえている。今回紹介した4本に自分好みのものがないようであれば、App Storeから好みに合うものを検索してみてほしい。