処方箋なしで購入できるOTC 薬(一般用医薬品)によく含まれている鎮静性抗ヒスタミン薬を前夜に服用すると翌日まで影響を及ぼしアルコールと同じ二日酔いと同じ状況になるが、東北大学の研究チームは、PET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィ)を用いて前夜に服用した鎮静性抗ヒスタミン薬による「二日酔い」の分子イメージングに成功、そのメカニズムをヒトで初めて明らかにした。

二日酔い、宿酔(ふつかよい)は、主にエタノールにより脳機能が低下した状態であり、基本的には、夜間に酒を飲み、翌朝の起床後、顕著に現れる現象を指し、12月の忘年会シーズンでは注意が必要なものである。

また、アルコールのみでなく、薬も前夜に服用すると翌日まで眠気や脳機能障害などの副作用が持ち越す「薬の二日酔い」も知られており、特に処方箋なしで購入できるOTC薬によく含有されている鎮静性抗ヒスタミン薬を前夜に服用すると翌日まで影響し、アルコールと同じ二日酔いと同じ現象になることが一部の研究者では知られていた。

研究チームでは、PETを用いて前夜に服用した鎮静性抗ヒスタミン薬が、12時間後にどれだけ脳に残っているか調査、眠くなる鎮静性抗ヒスタミン薬を服用すると受容体の約50%が占拠されていたのに対し、眠くならない抗ヒスタミン薬は15%程度であることを突き止めた。

前日の夜に服用した薬による翌日の"二日酔い"。前の日に眠くなる抗ヒスタミン薬を服用すると翌日(12時間後)でも脳内受容体が占拠されて脳内が暗く見えるが、眠くならない抗ヒスタミン薬を服用した場合は薬を服用しないとあまり変わりがなく明るい色になっている

同研究チームの以前の研究から50%の受容体が占拠されるとひどい眠気と脳機能障害が起きることが判明しており、これによりOTC薬として睡眠補助薬、花粉症薬、風邪薬、乗り物酔い止めに含まれている眠くなる鎮静性抗ヒスタミン薬は、特に車の運転や重要な試験を受けるなどの高い能力を発揮する必要がある時は前日の夜にも服用しないように十分に注意が必要であることが科学的に証明できたこととなる。

なお、同研究は12月に米国の専門誌Journal of Clinical Psychopharmacologyに掲載された。