経営再建中のウィルコムは12月1日、新たな料金プランとして「だれとでも定額」を発表。今後、さらに新端末の提供など、順次サービスを拡充していく。だれとでも定額に関して、新たに社長に就任した宮内謙氏は「非常に革命的な料金プラン」と強調し、新生ウィルコムを印象づけたい考えだ。

だれとでも定額を発表する宮内謙社長

ウィルコムは、経営不振から会社更生法を申請、ソフトバンクらが再建に乗り出しており、前日の11月30日には東京地裁に提出していた更生計画の認可が決定。今後計画に乗っ取って再建を進めていくことになっている。

その第1弾として登場するのがだれとでも定額だ。指定の料金プランを使っているユーザーに対するオプションプランとして提供され、PHSだけでなく他社携帯電話、固定電話、IP電話といった国内向けのすべての通話に対して定額料金で音声通話ができるというものだ。月額980円で、1回10分以内、月間500回までの通話であれば、すべて無料で通話できるようになる。

ウィルコムでは、これまでもPHS間は24時間定額料金で通話できる料金プランを提供してきた。今回は、通話相手が他社携帯でも固定でも定額で通話できるサービスを提供することで、「日本中に通話の喜びを提供する」(宮内社長)考えだ。

PHSだけでなく、携帯、固定、国内通話に関してはすべて通話料は0円となる

これまで他社宛や固定への通話料は有料が「常識」だったが、それをひっくり返すサービスだという

1回の通話で10分までと限定されているが、ユーザーの「ほとんどの通話は10分以内」(同)であり、さらに10分後に終話し、再びかけ直すことで、1カ月500回の通話までは無料で通話できる。

これまで、ウィルコム沖縄が同サービスのテストサービスを提供しており、ソフトバンクが再建に乗り出してからは、これを拡大して北海道や宮城、広島などでサービスを提供してきた。料金を月額1,980円にしたり、月間利用回数を300回にしたりといったテストを行ったという。それまで契約数で純減が続いていたウィルコム沖縄ではサービス開始後、純増に転じており、逆に1,980円にした場合は契約数への効果は薄く、月間利用回数が500回にした場合と300回にした場合ではそれほど効果に違いはなかったそうだ。テストでは、月間400~500回の通話に収まったという。

こうしたテストを経て、ウィルコムでは月額980円、1回10分まで、月間500回までという制限のもとに、国内通話無料の定額サービスを開始する。500回に制限したことに関しては、「無制限にすると、予期しない悪用をされる可能性がある。一定の制限を入れないと、逆にユーザーに迷惑をかけてしまう」(マーケティング本部長 寺尾洋幸氏)からだ。

テストスタート後、純増に転じたウィルコム沖縄

ウィルコムマーケティング本部長の寺尾洋幸氏

対象となる料金プランは、「新ウィルコム定額プラン」「新ウィルコム定額プランS」のユーザー。新ウィルコム定額プランは、PHS同士の通話が24時間無料、すべてのEメール送受信が無料という料金プランで、月額は2,900円。新ウィルコム定額プランSは、すべてのPHS通話、Eメール送受信が無料で、月額料金が1,450円というプランだ。もともと新ウィルコム定額プランSは、22歳以下の年齢制限のあるプランだが、今後は年齢制限を撤廃し、誰でも加入できるようにする。