ファイルメーカーが主催する「FileMaker」の総合イベント「FileMaker カンファレンス 2010」が29日に都内で開催された。同カンファレンスは今回で2回目の開催となる。事業全体の総括や最新製品のデモンストレーションを行ったオープニングセッションをはじめ、ほぼ全てのセッションが満席となる大盛況だった。なお、セッションの一部は、現在もUSTREAMで視聴可能となっている

「記録的な成功を収めた1年」

ファイルメーカー株式会社社長兼米FileMaker, Inc.シニア・バイス・プレジデント、CFO ビル・エプリング氏

オープニングセッションでは、まずファイルメーカー株式会社社長兼米FileMaker, Inc.シニア・バイス・プレジデント、CFOのビル・エプリング氏が事業全体の総括を行った。氏のプレゼンテーションによれば、FileMakerシリーズの出荷総数はこれまでに全世界で1,600万本を超え、日本でもこの4月に発売された最新版「FileMaker Pro 11」はワールドワイドですでに100万本を出荷し、新製品として大きな成功を収めたという。この1年で同社は過去最高の出荷数・売上を達成しており、R&Dへの投資もこれまでで最大となっているにも関わらず大きな利益を達成できたとした。

その業績に大きく貢献したのが、「革新的なプラットフォーム」と同氏が言うiOS上で動作する「FileMaker Go」の存在だ。FileMaker Goは7月21日にバージョン1.0が発売され、9月22日には早くもバージョン1.1がリリース。このバージョン1.1ではPDF作成や電子メールによる共有といった機能が追加されており、今後も同社では同様にFileMaker Goのアップデートを行っていくという。なお、このアップデートは同ソフトを購入済みのユーザーには無料で提供されており、今後も同様に無料で追加機能をリリースしていくという。そして今後の予定として、11月中にも次バージョンをリリースすることを表明した。

「FileMaker Goが加わったことにより、我々は完全な製品ラインナップを用意することができた」とエプリング氏は語る。Windows、Mac、iOSデバイスのすべてをカバーする製品を用意し、ユーザーコミュニティやトレーニング、コンサルティングなどのサービス・リソースを提供することで、サードパーティなども含めたグローバルなFileMakerソリューションを発展させることができるとした。

この1年はFileMakerにとって、出荷本数・売上ともに過去最高だった

日本の大学生の就職人気企業ランキングのトップ100企業のうち91社がFileMaker製品を活用しているという

FileMakerの現在のビジネスにおいて、米国内の売上が占める割合がもっとも大きく、全体の約40%。日本での売上は全体の約1/4にあたり、全世界で2位。1国でヨーロッパ全体に匹敵するという。このため、日本市場は社内でも重視されており、本社でCFOを務めるエプリング氏が日本法人の社長を務めることになった。同氏は「フルタイムで日本法人の業務にあたっているわけではない」としながらも、「日本のビジネスには多くの時間を割いており、日本での成功を他の国にも広げていきたいと考えている。当然、日本のユーザーの声は本社にも届いている」と語った。

続いて同氏は米国・日本で多数の企業・団体がFileMakerのソリューションを導入していることを紹介した後、「ユーザーはなぜFileMaker Proを選択するのか。製品については後に譲るが、CFOの立場から見れば、ROI(投資収益率)、TCO(総所有コスト)というのは重要であり、それが成功のポイントといえる。加えて、FileMakerという企業が、日本での17年以上の歴史を持ち、これまで成功してきたということ、これまで我々が一貫して、信頼をもってビジネスを続けてきたことが評価されている」と締めくくった。

FileMaker Goの日本語インタフェースもプレビュー

米FileMaker, Inc.システムエンジニア マシュー・オ・デル氏

続いて、米FileMaker, Inc.システムエンジニアのマシュー・オ・デル氏が登壇。はじめに「Bento 3」「Bento for iPad」「FileMaker 11」「FileMaker Go」と新製品のリリースが続いた2010年を振り返って「非常に多忙な1年だった」とし、その中から「FileMaker Pro 11」「FileMaker Go」をデモで紹介した。

デモで紹介されたのは、FileMaker Pro 11のグラフ、Excel/PDF/Snapshot Linkといった形式での保存、Advanced Search、フィルタードポータル、条件付きレイアウト、スクリプトトリガーといった機能。スクリプトトリガーについては、FileMaker Goでの利用についても紹介された。デモ中では、日本語化されたFileMaker Goのインタフェースの一部も公開された。

同社の最新の製品であるFileMaker Goを利用したデモも行われた

次のアップデートで実現するという、日本語化されたユーザーインタフェースも公開された

オープニングセッション最後のパートは、FileMaker, Inc. FileMaker製品開発部サーバ品質管理グループ ソフトウェアテストエンジニアの西山慎一氏による外部SQLデータソース(ESS)の活用デモ。同氏は、FileMaker ProのESS利用について、ODBCインポートやExecute SQLとの違いを紹介し、実際のデモでその手順を解説した。

FileMaker, Inc. FileMaker製品開発部サーバ品質管理グループ ソフトウェアテストエンジニア 西山慎一氏

西山氏はFileMaker ProでESSを利用する際の構成や手順、メリットについて、デモを交えて解説した

ブースではさまざまなソリューションを紹介

ブースではFileMaker Business Allianceの会員企業が各種のソリューションを展示していた。これは、美容院でのヘアカタログにFileMaker Goを活用する事例

オープニングセッションの終了後はビジネストラックやソリューショントラック、テクニカルトラックなどのテーマ別セッションが開催され、同時に展示エリアのショウケースでFileMaker製品を活用したさまざまなソリューションの事例が紹介された。セッションは大半が満席となっており、ショウケースの各ブースも大いににぎわいを見せていた。

なお、カンファレンスの一部のセッションについてはUSTREAMによる配信が行われ、カンファレンス終了後も視聴可能となっている。視聴できるセッションはオープニングセッションの「FileMakerからのビジネス&テクニカルアップデート」、ファクトリーの西村早苗氏によるテクニカルトラック「FileMaker Goに最適なインターフェースの考え方とソリューション開発のポイント」、およびクロージングセッションとして開かれた懇親会の3本。オープニングセッションについては日本語版・英語版が、その他の2セッションについては日本語版のみが視聴可能だ。

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ファイルメーカー選手権2010 コンテストページにて、西村俊一氏のブログ「Factory a go-go!」をご覧いただけます。コンテスト期間中に、FileMaker関連の情報やニュース、本連載の告知などの記事を続々と掲載する予定です。お楽しみに!