米Googleは9月30日(現地時間)、画像用の新フォーマット「WebP」を発表し、各種ツールの提供を開始した。JPEGなどに代表される非可逆式圧縮フォーマットの一種で、主に写真などの画像の圧縮に向いているという。その最大の特徴は圧縮率で、サンプルの比較で同品質のJPEG画像の10~80%程度のファイルサイズにまで圧縮できる。今年5月にオープンソース化を発表した「WebM」のベースとなっているVP8の技術を利用して画像圧縮を行っており、WebPもまたオープンソースとしてその仕様が公開されている。

GoogleではJPEG等の画像ファイルからWebPへとフォーマット変換を行うツールを提供しており、Webマスターや開発者、個人ユーザーがダウンロードして手持ちの画像ライブラリをコマンドラインから一斉変換することも可能だ。ただし、現時点でWebP画像を表示可能なWebブラウザは存在せず、Googleでは近日中にWebKit向けの対応パッチをChromeに提供する予定だという。その圧縮効果を知りたいユーザーは、WebPのページで公開されている写真ギャラリーを見るといいだろう。JPEG画像の横にWebP画像が並べられており、その画像品質とファイルサイズ、圧縮率が記載されていて容易に比較できる。WebPの画像は非対応ブラウザ向けにPNG形式で提供されているため、劣化なしの状態でその品質を確認できる(ただしファイルサイズは実際のWebPのものよりかなり大きくなる)。

Googleによれば、画像ファイルは今日のWebトラフィックの約65%を占めており、これがネットワーク帯域の圧迫と、レスポンスの低下というユーザー体験の悪化につながっているという。JPEGでは画像品質とファイルサイズはトレードオフの関係にあるが、そのため、必要十分なクオリティ維持を優先するとページサイズが大きくなるという問題がある。JPEGのほかにJPEG2000といった新規格もあるが、既存のJPEGコンテンツを置き換えるほどメジャーな存在にはなっておらず、ここ20年あまりで画像の圧縮に関してはほとんど進歩がないのが現状だ。WebPの登場が、こうした状況に一石を投じることになるかもしれない。

なおGoogleでは「WebP」を「ウェッピー(weppy)」と発音すると説明している。WebP自体はオープンソースで広く技術仕様が公開されるが、これを機会にChrome以外のブラウザでも採用され、各種OSやツール、アプリケーションへと実装され、"ウェッピー"が標準フォーマットの1つとして確立することになるのだろうか?