電子ブックリーダーの弱点を克服したノート型デバイス「Eee Tablet」

今回の発表会で最も興味を惹かれた製品が、ASUSが最後に発表した「Eee Tablet」だ。"タブレット"の名称を冠した製品だが、このタブレットの目指すところは今日一般に認識されつつある"タブレット"とは異なり、ノートとしての"タブレット(板書用の板)"に近い存在だ。

もちろん、タブレットPCだけでカバーしづらい領域もある。例えば一般的な電子ブックリーダーとして考えれば画面の見づらさやスペック過剰感が拭えないし、ノート代わりとして考えると手軽に扱えるデバイスとは言いづらい。そこで今回3種類目のタブレットマシンとなる「Eee Tablet」の登場となる

Eee Tabletの特徴は、スタイラスによる手書き入力が容易なメモ機能にある。用途に応じて各種テンプレートが用意され、さまざまな用途でメモ代わりに活用できる。また単なる手書きメモではなく、記録した情報を検索したり、内蔵カメラや文書等のデジタルデータを取り込んで注釈やメモ書きを行ったりと、デジタルデバイスならではの機能を持っている。タッチスクリーンの解像度は2450dpiと精細で、さらに最大の特徴として0.1秒高速画面書き換えとレスポンスの早さが挙げられる。

Eee Tabletの特徴は、本当の意味でタブレット型デバイスをノートとして活用する方法を重視している点にある。手書き板書とデジタル技術の両方のメリットを取り入れ、さまざまな用途に対応した各種テンプレートや検索機能、カメラ撮影した内容への手書きメモ機能など、Eee Tabletならではのメリットを享受できる

Eee Tabletのノートとしての役割を補完する機能の数々。例えば音声メモ機能のほか、特定パラグラフへのアノテーション(注釈)付記なども容易

KindleやSony Readerなど、今日一般的な電子ブックリーダーで採用されているE-Inkのディスプレイは、画面書き換えに1秒近いラグタイムがあり、画面切り替えやアニメーション、スクロールなどの動作が非常に苦手だ。またプロセッサもバッテリ寿命やコストの関係から低速なものが採用されていることが多く、非常にレスポンスが悪い。これをEee Tabletでいう手書きノートの世界に当てはめたとき、ユーザーがどれだけストレスなしにデバイスを使い続けられるだろうか? 電子ペーパーの目への優しさと高速レスポンス、これで問題を克服したのがEee Tabletの特徴となる。

KindleやSony Readerなどに搭載されているE-Inkの最大の弱点は画面リフレッシュに1秒近い時間がかかることで、画面切り替えやスクロール動作が苦手だったが、ASUSによればEee Tabletのモノクロディスプレイではこの弱点が克服されており、電子ブックも快適に読めるという

Eee Tabletの用途は、ASUSによればビジネス現場や教育現場など、これまで業務用タブレットを使っていた層を含め、いままで板書にデジタルシステムをあまり導入していなかったようなケースでも活用を考えている。データの転送はPC経由で行うことになるとみられ、USBまたはmicroSDカード経由でPCとの同期が可能。ここでノートやコンテンツの転送のほか、カレンダーやテンプレートのアップデートなど、両者間で最新の状態を保てる。また単体ではバッテリ駆動で10時間の連続利用が可能で、前述のノートとしての活用のほか、メディア再生デバイスや電子ブックリーダーとしても活用可能だという。

PCとの同期方法はmicroSDまたはUSBケーブル経由。ソフトウェアやテンプレートなどのアップデートもPC経由で行う

以上の「Eee Pad」「Eee Tablet」という2系統の製品を加えた形でASUSのクラウドによるデジタル・ハブ構想が実現されることになる

ASUS Eee Padのハンズオン画像。ノートPC型ドックのほか、専用ドック+ワイヤレスキーボードなどが用意されている

Eee Tabletの利用イメージ。スタイラスの持ち手を逆にすると消しゴム機能になる