早速SharePoint Onlineに挑戦!
まず、プロジェクトのサイトを作成する。開発部の案件なので、サイトもその階層化に追加することにした。テンプレートは、一番標準的で最初から使える機能がそろっている「チームサイト」を選択した。
デザイナーと顧客の担当者もユーザ登録し、プロジェクトサイトに対するアクセス権限も設定しておく。アクセス権限は「フルコントロール」「デザイン」「投稿」「閲覧」があるが、社外のスタッフは「投稿」と「閲覧」だけあれば十分だろう。当然、社内の他のサイトには権限を与えないようにし、情報が漏れるのを防ぐことが必要だ。
ドキュメントの共有
実際に利用する機能として、まず大切なのは「ファイル共有」だ。議事録や仕様書はもちろん、デザイナーから納品されるHTML、CSS、画像といったリソースも、すべてSharePoint Online上でやりとりする。「チームサイト」テンプレートでは、あらかじめ共有ドキュメントの機能が有効になっている。ただ、ファイルをきちんと整理して管理したいので、あらかじめ「議事録」「仕様書」「納品物」などフォルダは作成しておくことにした。
ドキュメントのアップロード手順は、非常にわかりやすい。リストビューも無駄な情報が表示されないので一覧性が高く、SharePoint Onlineをはじめて使うメンバーでもすんなりと操作できた。
SharePoint Online管理下のドキュメントをWindowsエクスプローラ上で操作できる(らしい)「エクスプローラ ビュー」機能は、残念ながらMacでは使えないが、普段エクスプローラを使っていない我々にとっては、逆にシンプルなリスト表示がなじみやすい。
Webベースのアップローダには日本語のファイル名だと文字化けしたりするものも多いが、そういったマイナーなトラブルがまったく見あたらないのはさすがというべきだろう。
予定表とタスク
次は、スケジュール管理もSharePoint Onlineでやってみる。
「チームサイト」テンプレートには、カレンダー形式の「予定表」と、個別のTODOを管理する「タスク」が用意されている。予定表は「日」「週」「月」単位での表示、繰り返しのあるイベントの登録、イベントへのファイル添付など、Webグループウェア的なスケジュール管理ツールとして一般的な機能が揃っている。
Macとの連携では、「クライアントに接続」「スプレッドシートにエクスポート」などは動作しないが、予定をiCalender形式(.ics)で書き出せるので、iCalに予定を取り込むことは可能だ。
タスクは、各担当者に割り当てられた各作業の進捗と期日を管理できる。タスク一覧は並べ替えや特定列でのフィルタ機能も備えていて扱いやすい。「予定表ビュー」や「ガント ビュー」を作成することも可能なので、期日などをビジュアルに表示することが可能だ。イベントと同様にファイル添付もできるため、タスクと成果物を結びつけることで、最終的な納品のための取りまとめ作業は簡潔かつ容易になった。
ディスカッション
地理的に離れたメンバーで構成されるプロジェクトでは、打ち合わせもそうそう頻繁にできない。よって、コミュニケーションは、主に電話、メール、メッセンジャー、Skype等が中心になるのだが、いろいろと便利な方法が出てきたおかげで、逆に情報が集約しづらいという負の側面も目立つようになってきた。単にメンバー同士で議論するだけなら、使い勝手の良い掲示板があればそれで十分だったりするのだ。
SharePoint Onlineの「チーム・ディスカッション」は、スレッド表示・フラット表示の切り替え、トピックへのファイル添付といった必要十分な機能をもつ、シンプルな掲示板だ。難点は、Macだとコメントの入力時にHTMLタグを書かなければならないこと。Internet Explorerであればヴィジュアル・エディタが動作するので問題ないが、MacではFirefox、Safari、Chromeのいずれを使っても、本文にHTMLタグを書かねばならない。せめて改行ぐらいは、自動で<br />タグに変換してくれるとありがたいのだが……。これは、今後の改善に期待しよう。
以上、基本的な機能だけだが、今回は実際のプロジェクトにSharePoint Onlineを活用した感想を述べてみた。
トータルの雑感としては、導入時の「使い勝手」が特に優れている印象だ。サイトの準備も一瞬でできるので、短期間のプロジェクトや、参加メンバーのITリテラシに差があるケースでは、特に管理の手間を削減できそうだ。
デザイナーやクライアントも、ログインの手順だけレクチャーした後は普通に使いこなしていたし、不満があがることも無かった。グループウェアとしては、個別の機能は特に目新しいものではないし、特に高機能というわけでもないが、デフォルトのテンプレートのみでここまで実用的なポータルが立ち上げられれば、中小企業やプロジェクト単位の用途では十分だろう。