BTOパソコンの雄「サイコム」が、"パソコン"ではなく、ワークステーションの新製品「Leptonシリーズ」を発表した。同社が得意とするBTOのメリットはそのままに、ワークステーションのハイパワーを享受できる。今回は、そのラインナップから水冷ユニット採用モデル「Lepton WSC+」の実力を試してみたい。

「Lepton WSC+」

■試用機の主な仕様 [CPU] Xeon X5550(2.67GHz)×2基 [チップセット] Intel 5520+ICH10R [メモリ] DDR3-1333(Resistered、2GB×6、12GB) [HDD] HGST 1TB HDD [光学ドライブ] DVDスーパーマルチドライブ [グラフィックス] Quadro FX 580 [OS] Windows 7 Ultimete 64bit版 [直販価格] 521,300円(Lepton WSC+/X5550をベースにBTO)

まずは外観から順にチェックしていこう。きょう体はCooler MasterのHAF932で、自作ユーザーには馴染み深いゲーマー向けのケースだが、12インチ×13インチサイズのSSI EEB(E-ATXと同サイズ)マザーボードがすっぽりと入って、かつドライブとの干渉も無い。マザーボードはIntel純正の2Pワークステーション向け「S5520SC」を採用しており、CPUソケットはLGA1366に対応。今回のモデルではCPUにIntel Xeon X5550(2.67GHz)×2基を搭載しており、これはクアッドコアであることに加え、Hyper-Threadingによってトータルで16スレッドの同時実行性能を持つ。メモリソケットは計12基で、2GBモジュール×6枚であれば計12GBものメモリを搭載できる。

Lepton WSC+の側面。拡張性の高いHAF 932をベースに、ワークステーション向けのマザーボード、ワークステーション向けグラフィックスカード等を中心に組み合わせている

マザーボードの全体写真。通常であれば巨大な空冷CPUクーラーが装着され、メモリスロットに手を入れるのも大変だが、Lepton WSC+は水冷の採用で広々としている。拡張スロットも豊富だ

搭載していたのはXeon X5550(2.67GHz)×2基。2P向けCPUだけって、単体入手だと1基あたり10万円超の値が付いている

2P Xeonシステムなら一度は試したいタスクマネージャ。HT対応のクアッドコアCPUのため1CPUあたり8スレッド。2Pで16スレッドぶんのバーが並ぶ

一般的なアンバッファドメモリではなくレジスタードメモリを装着。各CPUあたり3ch、計6chアクセスを行う

一般的なワークステーション、とくに2Pシステムの内部というと、巨大なCPUクーラーやその他冷却用の機構が入り組み、ぎっしり詰まっている印象があるだろう。しかし本製品にはそうした印象が無く、見慣れたパソコンに近い内部スペースが開けている。その理由はやはり水冷システムだ。採用されている水冷ユニットはCorsairの「CWCH50-1」。自作PC用としても流通しているメンテナンスフリーを掲げる一体型水冷ユニットだ。この製品は1基のポンプ一体型CPUヘッドと1基のラジエータを組み合わせているため、Xeon 2Pシステムである本製品では2基搭載されていて、ラジエータも当然2基。このクーラーのラジエータはケースの12cmファンスペースに装着するタイプだが、HAF932の柔軟なファンレイアウトが功を奏している。HAF932の天井部分は本来23cmファン1基あるいは12cmファン3基というファンがレイアウト可能となっているが、本製品ではそのうち2基分のスペースをラジエータが使用している格好だ。

HAF932のスペックとなるが、5基のHDDベイはレバー付きのリムーバブル式を採用。RAID構成時などでも活躍する

Corsair「CWCH50-1」を各CPUごと、計2基搭載。ラジエータはHAF932の天板部分を利用し装着されている。ラジエータ部の12cmファン2基に加え、システムにはリアに14cmファン1基、フロントとサイドにそれぞれ23cmファンを搭載。それでも動作音は2P システムとしてはかなり静か

グラフィックスカードの最廉価BTOオプションはGeForce 210だが、「なし」というオプションも選べる。ハイエンドに目を向けるとGeForce GTX 285やRadeon HD 5870などDirectX向けカードも選べることに加え、当然ながらワークステーション向けのOpenGLカードQuadro FXもラインナップされている。ちなみに今回の試用機ではワークステーション向けのNVIDIA Quadro FX 580が装着されていた。これはシングルスロットサイズでCUDAコアは32基と、エントリー向けの位置づけになるOpenGLカードだ。

評価機に搭載されていたのはエルザ製の「Quadro FX 580」。エントリー向けのOpenGLカードのためコンパクトだが、ケース自体はハイエンドカードを搭載するに十分なスペースがある

電源ユニットはSilverStoneの「SST-ST1500」(容量1500W 80PLUS SILVER取得)。自作PCでもお馴染みのブランドの電源だ

HDDも少容量から2TBの大容量HDD、高速なSSDなどが用意されている。ちょっとこの製品の方向性が見える点は、SAS HDDが用意されていないところ。あくまでコストメリット重視のワークステーションという印象だ。あるいは、どの程度の数が居るのか予想もできないが、エンスージアスト向けのゲーミングPCというのも想定されているのではないだろうか。