「WinZip 14 Pro」

1億9,500万回以上のダウンロード回数を誇るという定番圧縮・解凍ソフトWinZipの最新版となる「WinZip 14」が発売された。Windows 7にも対応しジャンプリストやWindows Touch(Pro版)などにも対応する。AESの暗号化にも対応し情報漏洩対策にも一役買う。「WinZip 14」の体験版はコーレル社のWebサイト上からダウンロードできる。対応OSはWindows 2000 / XP / Vista / 7。32/64ビットともに動作する。圧縮可能なファイル形式はZIP、ZIPX、LHAとなる。

解凍可能なファイル形式は非情に多く並べてみるとZIP、ZIPX、RAR、7Z、BZ、BZ2、TBZ、TBZ2、LHA、LZH、CAB、IMG、ISO、TAR、GZ、TAZ、TGZ、TZ、Z、UU、UUE、XXE、B64、MIM、BHX、HQXとなる。Pro版とStandard版の違いは、後述するスケジュールを使ったジョブ利用の有無などがある。コーレルストアではPro ダウンロード版の価格は6,720円、Standard ダウンロード版の価格が3,990円となる。

圧縮・解凍ソフトといえばダウンロードサイトなどでもダウンロード数で上位を誇るソフトだ。様々なシーンで頻繁に利用している方も多いだろう。使用頻度が高いソフトが、細かく気の利いた機能に充実していれば、それはペイするソフト。つまり、もとの取れるソフトと言えるだろう。WinZipは圧縮・解凍という普段よく使う機能を洗練させているソフトなのである。

画像や映像が高解像度化する中、気づかないうちにハードディスクやストレージのデータ占有率は上昇している。HDDやネットワークのトラフィックが序々に詰まってくる。ストレージなど物理的な大容量化に伴い、容量問題は隠蔽された状況にあるかもしれないが、いつまでも無限にストレージを増やしていけるものでもないし、できる限りエコにやれることはやっておきたい。WinZip 14では日常で頻繁に使うファイル自体を最新の圧縮技術により根本的に容量を削減し、しかもそれら作業を気にならないまでの操作性も提供してくれる。

体験版をインストール

ここでは、体験版を使ってそれら所作を試してみようと思う。体験版を同社Webサイトからダウンロードしてインストーラーをダブルクリックするとインストールがはじまる。体験版は45日間使用できる。

体験版をダブルクリックするとウィザードが展開される

評価版のライセンスに同意して[次へ]

インストールフォルダを決定して

エクスプローラの設定。ここではすべてにチェックを入れている

圧縮率の高いZIPXなども自動判別する「最適な圧縮率を自動判別」をここでは選択

ほとんどのユーザーが選択するというWinZipクラシックを選択

高速なセットアップを希望する

今回はそのまま[次へ]を選択した

インストールが終了する。チェックボックスにチェックを入れると

終了後にWinZip 14が起動する

高い圧縮率

筆者もご多分に漏れずDropBoxやEvernoteなどのWebサービスを利用することが多々ある。原稿のやりとりから写真データなど、やはりファイルデータを扱うことは多い方だと思う。これらWebのサービスにも容量に上限がある。無料版を使っているとなおさらである。いつまでもまだ足りるからと高をくくっていると、いつか膨大な整理整頓に追いやられることは間違いあるまい。同社Webサイトでは、ZIP形式や新フォーマットZIPX形式での圧縮率の目安を掲載している。

注目すべきは、ZIPX形式での圧縮率である。もちろんファイルの状況によりこれらの数値が異なることはあるが、ZIP形式では圧縮が期待できないJPEGファイルが効果的に圧縮できている。一枚の3MBの写真ファイルが仮に2.4MBになるのであれば、200枚600MBの容量が480MBになるわけで、3TBの写真のみのストレージは2.2TBになる。ファイルを削減せずにこれだけ圧縮できるのは有り難い。

WinZip 14をインストールするとファイルやフォルダを右クリックして各機能を呼び出せるほか、起動してドラッグアンドドロップでスイスイと圧縮させることができる。原稿のやりとりでWordファイルを使うことがある。この場合、スクリーンショットなどJPEGファイルをレイアウトの関係上Wordの中に貼り付けて送ることがあるが、高解像度の写真ファイルが多数貼り付けてあるとメールで送信するにも容量が大きすぎる。写真20枚前後が貼り付けてあるWord原稿16.2MBをZIPX形式に右クリックで圧縮してみたところ16.92MBが4.65MBのZIPXへと圧縮された。ダイアログには圧縮前とオリジナルサイズがグラフで表示される。節約された領域も表示されるのでこれは心地よいものだ。

ファイルを右クリックで各メニューを呼び出せる

圧縮後はグラフで表示されるので一目瞭然

Windows 7の対応ではジャンプリストやエクスプローラーを使用すると効果的な圧縮も可能だ。新バージョンではWindows 7のライブラリ機能を使った写真ファイルの一括圧縮、Windows Touchによる指のジェスチャーによる画像操作、ジャンプリストなど7の機能とも符合する。エクスプローラーを使えば、隅々まで確認しながら容量の多いファイルやフォルダを探しだし、右クリックで圧縮できる。ZIPファイルをクリックすると中身がエクスプローラービューで確認できるのも使いやすい。

Windows 7のエクスプローラーではZIPファイルの中身もプレビュー。快適なデータ管理が行える

ジョブ

WinZip 14ではジョブという圧縮タスクが簡単に作成できる。ジョブはwjfという拡張子で管理されるバッチファイルのようなもので圧縮のフォルダやスケジュールなどを自動化してしまう機能だが、これが非常に便利である。

特定のフォルダ、たとえば画像ファイルがたまるマイピクチャやOfficeファイルを任意に保存してあるWorkフォルダという具合に圧縮効果の高そうなフォルダを指定してスケジュールを組んで圧縮できる。設定では差分や増分ファイルだけのバックアップや除外拡張子、追加拡張子などのフィルタ設定もできる。

[ジョブ]メニューの[作成]からジョブファイル作成できるのでダイアログに従って[次へ]を押して行けば、スクリプトの知識がなくとも簡単に計画できるだろう。また、ジョブメニューではあらかじめいくつかのジョブがデフォルトで設定されており、マイドキュメントの圧縮やデスクトップの圧縮、メールの圧縮などを選択するだけで実行できる。なお、試用版ではスケジュールの設定はできない。

ジョブでは、圧縮のスケジュールも可能に。暗号化も指定できるので定期的に重要な書類がたまるフォルダをジョブに組み込めばよい

暗号化

WinZip 14ではパスワードをかけた圧縮を行うことができる。情報漏洩の原因として意外に多いのが紛失や置き忘れ、誤操作によるデータの流出である。意図的な搾取というよりはデータ保有者の単純な過失による流出が多いのはよく聞く話でもある。WinZip 14では、単純なパスワード形式、これは相手に特定のツールが必要のないパスワードを知っていれば解凍可能な形式とAES128/256ビットの暗号形式での暗号化に対応する。

後者ではパスワードの複号に送付先相手がWinZipを保有していることが必要になるが、強固な暗号により安全性が担保される。先に説明したジョブの中でも暗号化の設定が可能だ。重要なファイルを保存するようなフォルダにはジョブと暗号化で常に自動的に安全な状態を作り出すという手法は、ケアレスミスによるファイル流出などへの対策にもなる。日常で使う圧縮工程でセキュリティを強化するのは非情にいいアイデアだ。こういった分野でも十分活用可能なユーティリティセキュリティという側面も合わせ持つ。

暗号化には用途に応じた3種類で情報漏えい対策も可能に。パスワードポリシーも設定できる