日本電子出版協会(Japan Electronic Publishing Association/JEPA)は、電子書籍データフォーマットの実質的な世界標準形式「EPUB」について、日本語固有の仕様を含めた「EPUB日本語要求仕様案」を策定し公開した。

JEPAは昨年11月、協会内にEPUB研究会を組織し、EPUB仕様を策定した米電子書籍標準化団体IDPF(International Digital Publishing Forum)に加盟。欧米の策定チームと仕様の調整を行ってきた。日本語拡張仕様案の主な項目は「縦書きと横書き」「文字組の方向、ページ開きの方向」「縦書き文書中の横書き(柱、ノンブルなど)」「横書き文書」「縦横表示方向の変更」「縦横各方向でのスタイルシート」「縦中横」「縦書き文章中の欧文処理」「禁則処理」「ルビ」「ルビ(モノルビ、熟語ルビ)」からなる。正式な拡張案(英文)は、「Minimal Requirements on EPUB for Japanese Text Layout」を参照されたい。

JEPAは、この案を基に広く日本国内から意見を求めると共に、漢字圏である中国/韓国とも連携して、漢字処理の標準化をIDPFに提言。仕様の国際標準化を目指している。

IDPFのEPUB仕様書には、将来方針として「コンテンツの国際的なサポート」とあるものの、現状のOPS(Open Publication Structure) 2.0v1.0では、縦書き/禁則処理/ルビなど日本語表示固有の仕様は含まれていない。このためJEPAでは、IDPF(旧名称Open eBook Forum)設立当初よりJEPA会員企業が参加していた経緯から、EPUB日本語要求仕様案を策定した。日本語表示固有の課題を早期にEPUB仕様に取り込むことを目的として、必要最小限と考えられる要求仕様をまとめてある。

なお、要求仕様案はテキスト主体の電子書籍を想定したもので、雑誌形態などフリーレイアウトで作られる電子書籍については、EPUB仕様の制約により考慮されていない。

またJEPAは、EPUB概要と日本語拡張案を解説するセミナー「日本電子出版協会 EPUB説明会」を7日午後4時より開催予定としている。場所は「日本教育会館」(東京都千代田区一ツ橋2-6-2)。申し込み方法などの詳細はJEPAのWebサイトを参照。