帝国データバンクは2月24日、同日発刊の経営情報誌「TDB REPORT 102号 TDB業界動向2010-Ⅱ」で96業界220分野の業界動向を調査し、2010年度の業界天気を予測したなかから、主要44業界50分野の2010年度天気予測と各業界のポイントを発表した。

同社では、各業界の生産や販売、売上、収益動向などから景況感を総合的に判断したものを「業界天気図」とし、最も景気が良い状態を「快晴」、以下「晴れ」、「薄日」、「曇り」、「小雨」、「雨」、最も景気が悪い状態を「雷雨」と7段階で表している。

2010年度の業界天気予測は、対象50分野のうち36分野で「景気が悪い」を示す雨模様(小雨13、雨17、雷雨6)となった。しかし2009年度と比べると、18分野で改善された一方、悪化したのはわずか1分野にとどまった。

その要因として、製造業の多くが2009年度上半期を底にして業績改善傾向が強まっていることや、建設や小売などの内需関連業界でも下げ幅が緩やかになってきたことが挙げられている。

ただし、2009年度の天気を「改善」を予測した18分野のうち13分野が「雨から小雨」や「小雨から→雨」など小幅の改善にとどまっており、本格回復とは言えない状況にあるという。2010年度は国内経済が最悪期を脱しつつも、回復は依然として手探りの状況が続き、足元を見据えながら次の成長を模索する動きになるものと、同社では分析している。

「快晴」「晴れ」の分野

2010年度「快晴」の分野はゼロ、「晴れ」の分野は「総合商社」「テレビ・ネット通販」の2分野となった。総合商社は2009年度の業績が悪化するが、新興国に対するインフラや権益のビジネスが収益回復に寄与するため「晴れ」となったという。

「薄日」の分野

「医薬品製造」「ファーストフード」「教育サービス」の3分野が「薄日」となった。「ファーストフード」は外食産業の勝ち組として、伸び悩む「ファミリーレストラン」や「居酒屋チェーン」などと対照的に市場を拡大する。また、「教育サービス」は政府が掲げる「子ども手当」や「公立高校無償化」などの政策に対する期待値も含む。

「曇り」の分野

「石油化学基礎製品製造」や「家電小売」などのほか、「インターネットサービス」「ソフトウェア」「ネット広告」などのIT関連業界を含む9分野が「曇り」となった。

「小雨」の分野

「銀行(主要行)」「住宅(戸建て)」「産業機械」「家電製造」など13分野が「小雨」となった。

「雨」「雷雨」の分野

「機械」関連や「住宅」関連、「半導体製造」「百貨店」「人材派遣」など19分野が「雨」、また「建設」や「出版」「自動車製造」など7分野が「雷雨」となった。

2010年度業界天気図の内訳と増減数(2009年度比) 資料:帝国データバンク