Motorolaの日本法人であるモトローラは2月16日、Windows Mobile 6.1を搭載したモバイルコンピュータ「FR68」「FR6076」「MC9500」を発表した。

左からFR68、FR6076、MC9500の実機

モトローラ エンタープライズモビリティビジネス ディレクターの松永慎一氏

Motorolaは2010年2月11日に、2011年第1四半期に事業の分割を行うことを明らかにしているが、今回発表された3製品はともに、現在のEMS(Enterprise Mobility Solutions)部門のEnterprise Mobility Businessに属するものとなっており、「分割は来年以降の話で、現在の体制には変更はない」(モトローラ エンタープライズモビリティビジネス ディレクターの松永慎一氏)と現在のビジネスに支障がないことを説明した。

そのような状況の同社のEnterprise Mobility Businessグループが2010年に注力するのが「モバイルプロダクト製品(EDA:Enterprise Digital Assistance)」「スキャナ製品」「ワイヤレス製品」の3つの製品群。「この3つの製品群は、それぞれまったく別物のように見えるかもしれないが、これらを核に置くことで、シームレスなコネクテビティ、リアルタイムな情報共有、いつでもユーザーがアクセスできる、といったフィールドモビリティの実現がさまざまな領域で可能となる」(同)ことを強調する。

モトローラ(日本法人)の組織概要

事業分割計画の概要

フィールドモビリティワールドの実現を目指す(赤文字の分野がEnterprise Mobility Businessグループの領域、青文字が同じEMS部門ながら官公庁などを担当するグループの領域となっている)

中でも、日本では「リテール」「マニュファクチャリング」「サプライチェーン」「ヘルスケア」といった分野にターゲットを絞ることで、そうした分野におけるシェア拡大を図り、市場成長を狙うとする。

今回発表された3製品のうちFRシリーズ2製品がアジア地域、特に日本やシンガポールなどのカスタマからの要望をフィードバックして設計されたEDAとなっており、アジア市場に特化し、使い勝手と頑丈さを両立させたデザインとなっている。

日本市場からは、EDAのサイズの小型化が強く、その結果として、文字キーやファンクションキーをなど搭載しながらもシステム全体の小型化を実現。また、FR6076にはコンパクトフラッシュスロットを搭載したほか、3G(HSDPA)を搭載しているため、対応したSIMを挿すことで、携帯電話としても機能する。

FR6076の特長

一方のFR68(FR6876)は、よりコンパクトな設計ながら、HSDPAに対応しているほか、3.2Mピクセルのカメラの搭載やIP54シールドおよび0.91mの対落下性能などを実現したモデルとなっている。

FR68(FR6876)の特長

これまでのEDAは無線LANによる屋内、特にバックヤードなどでの活用が中心であったが、今回のFRシリーズには3Gネットワークに対応することができるようになったことから、運送業務や営業支援など、フィールドに出ての活用も可能になると同社では期待を覗かせる。

低価格帯のFRシリーズとは代わってハイエンド向けEDAとなる「MC9500(MC9590-K)」は、FRシリーズ以上の頑強性の向上や2次元バーコードへの対応、ディスプレイの大型化(3.7型VGA)などの工夫が盛り込まれている。

MC9590-Kの特長

CPUにはMarvell Internationalの「PXA320」(動作周波数806MHz)を搭載、バックルーム管理などを中心に想定しているため3Gには対応しないものの、シーリング性能はIP67、動作温度は-20~+50℃に対応しているほか、EDAの方向を3軸の加速度センサで検知し、機器の向きに応じてディスプレイに表示された画面の向きも変えたり、下を向けたときにはディスプレイの電源をオフにしてバッテリ寿命の延命を図ったりすることが可能となっている。

また、バッテリにも「インテリジェント・バッテリ・インジケータ」を採用。これは、バッテリ単体のみでも、バッテリの残量を見ることが可能となるインジケータで、5つの目盛り表示により、今、どの程度電力が残っているかを一目で分かるようになる工夫が施されている。

さらに、キーパッドをモジュール化したことで、用途に応じた4種類の中からカスタマが一番使いやすいものを選択することが可能となっている。

キーパッドはモジュール化されているので、用途に応じて変更することが可能。また、バッテリは単体で残量をチェックすることが可能、下からテストボタン、充電レベルインジケータ(5目盛りで、最後の1目盛りになると赤色に変わるとのこと)、ステータスLED(充電完了で緑、充電中で黄色、未充電で赤色になる)

3製品は3月末頃からの提供を予定しており、価格はオープンで、SIMの契約は別個必要となっており、日本通信がこれらの製品に対応したSIMの提供を発表している。