Microsoft Exchange Serverとの連携

システム管理者や経営者にとって気になるのは、Thunderbird 3が提供している機能よりも、それがMicrosoft Exchange Serverと連携できるのかどうか、といったところだろう。これはIMAP4を経由して同期できる。メールの量が増えてきて、目的のメールを探し出すのに時間がかかるようになってきているのなら、Thunderbird 3は採用を検討する価値がある。

サーバシステムをMicrosoft Windows Serverで集約し、クライアントには多種多様なバージョンのOSを使っているというのもよく見る光景だが、Thunderbird 3はマルチプラットフォームで動作するため、企業内でサポートするメーラとして使うにも適しているといえる。

Google Appsとの連携

米国ロサンゼルス市が3万人規模の導入を決定するなど、Google Appsは着実に普及している。大学など導入が進んでいる機関以外にも、企業での導入も進みつつあるようだ。Google Appsではなくとも、迷惑メールのフィルタリング目的でGoogle Mailを採用するという話も耳にすることが増えた。

Gmailの利点はオンラインで利用できることだが、ローカルで操作するのと比べると不便を感じることもある。こういったケースではThunderbird 3は便利なクライアントだ。IMAP経由で同期をかけて、Gmailの内容をすべて保持できる。気の利いたUIが使えるのはデスクトップアプリケーションならではといえる。

社内IMAPサーバとの連携

メールに外部のサービスを利用するケースもあるが、情報保持の観点から社外のサービスにデータを置くことを懸念する企業も多い。そういった場合、社内にIMAPサーバを構築し外部からメールを取り込んで管理するというのがひとつの方法となる。あくまでも社内に主導権を置いておく。

この場合もThunderbird 3は優れた選択肢のひとつだ。理由はこれまで紹介したとおり。自社でIMAPサーバを運用するケースでも、いったんGmailに転送して、再び社内IMAPサーバに取り込まれるという点も便利だ。

注意点 - IMAPとの最初の連携

Thunderbird 3のIMAP機能はだいぶ改善されている。しかし、ほかのメーラでは正しく使えるケースでも、Thunderbird 3でIMAPの同期をかけるとおかしな挙動を示すことがある。たとえばあるはずのフォルダが同期対象として表示されなかったり、削除したはずのフォルダが表示されることがある。

どうやらこの問題はIMAPサーバ側のキャッシュとの関係にあるようで、IMAPサーバで保持してるキャッシュデータと、実際の状況が異なっている場合に発生するようだ。この問題が発生するようであれば、まずIMAPサーバ側でキャッシュを削除してから、Thunderbird 3でフル同期をかけてみるといい。検索機能や改善されたUIが扱いやすいだけに、この部分は注意しておく必要がある。

また、同期すべきデータが大量にある場合、最初の同期とインデックスの作成にはそれなりの時間がかかる。最初に同期している段階で他の操作(フォルダを開く、作成/削除など)をすると、想定しているような同期が実施されずに、削除できないフォルダができたりするケースもある。大量のデータをIMAPで管理している場合など、最初の同期処理には注意が必要だろう。