IDC Japanは12月16日、国内のIT人材に関する調査結果を発表した。同発表によると、国内企業における社内のIT人材は減少傾向にあり、あらゆるスキルにわたって不足感が高まっているという。

同社は、昨年からの景気後退を受けて、国内企業はIT人材を削減する傾向にあると指摘している。その結果、アーキテクト、ITスペシャリスト、運用要員など、ITスキルのあらゆる分野で人材の不足感が高まっているが、今後もこの傾向は継続すると同社では見ている。

また、中堅/中小企業、流通業などは、社内のIT人材育成体制とキャリアパスが明確になっていない企業の割合が高く、根本的な解決が必要と指摘されている。このような企業では、育成体制とともに世代間のスキル伝承も課題となっている。

一方、大手ITサービスベンダー各社は社内研修体制や社内スキル標準を整備しており、IT人材の育成を進めているが、大規模なプロジェクトを遂行できるレベルのIT人材の育成、グループ企業やグローバル規模でのIT人材マネージメントという、ビジネスの成長に伴う新たな課題も明らかになってきているという。加えて、40歳前後のIIT人材の割合が高まっているベンダーも多く、それらの人材のキャリア形成、モチベーション維持も課題になっている。

同社では、国内ユーザー企業におけるIT人材不足の傾向は新たなIT投資の障壁になる可能性があるため、ITサービスベンダーは、自社のIT人材の効率的な育成・活用、ユーザー企業のIT人材不足を解消するようなソリューション提供を進める必要があるとコメントしている。

国内企業の社内IT人材増減:所属別(1年前との比較) 資料: IDC Japan